Vacuum-assisted closure療法が奏効した人工血管感染の1例

VAC療法が著効し人工血管を温存できた術後人工血管感染症例を経験した.症例は78歳,男性.左鎖骨下動脈―両総大腿動脈バイパス術後1年目に,人工血管感染および人工血管周囲膿瘍をきたし緊急切開ドレナージ術を施行した.膿瘍は,左側胸腹部の人工血管T字分岐部を中心に,人工血管沿いにトンネル状に存在した.大量の蒸留水による創部洗浄と可及的デブリードマンを行った.起炎菌はMSSAであった.一旦,症状は軽快したが術後5日目に感染が再燃し,直ちにVAC療法を開始した.左腋窩部から両大腿部に至る人工血管沿いに各吻合部約5cm手前まで創部を切開し,スポンジ充填し低圧持続吸引を行った.発熱・WBC・CRPは軽快し,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 7; pp. 1599 - 1603
Main Authors 藤原, 克次, 岡野, 高久, 夜久, 均
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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Summary:VAC療法が著効し人工血管を温存できた術後人工血管感染症例を経験した.症例は78歳,男性.左鎖骨下動脈―両総大腿動脈バイパス術後1年目に,人工血管感染および人工血管周囲膿瘍をきたし緊急切開ドレナージ術を施行した.膿瘍は,左側胸腹部の人工血管T字分岐部を中心に,人工血管沿いにトンネル状に存在した.大量の蒸留水による創部洗浄と可及的デブリードマンを行った.起炎菌はMSSAであった.一旦,症状は軽快したが術後5日目に感染が再燃し,直ちにVAC療法を開始した.左腋窩部から両大腿部に至る人工血管沿いに各吻合部約5cm手前まで創部を切開し,スポンジ充填し低圧持続吸引を行った.発熱・WBC・CRPは軽快し,浸出液は大幅に減少したが創部培養からMSSAの検出が続いた.よって,吻合部まで創切開を拡大し,VAC療法を継続し33日目に縫合閉鎖できた.術後3年以上経過し,バイパスは開存し感染再燃の兆候はない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.1599