重篤な肺膿瘍を合併した三尖弁位感染性心内膜炎の1治験例
症例は25歳の女性.幼少期よりアトピー性皮膚炎の既往がある.呼吸困難感,発熱,咳嗽,血痰を主訴に近医を受診した.胸部レントゲン検査では両側肺にまだら状の浸潤影を認め,肺炎の診断で抗菌薬による加療を開始された.しかし,抗菌薬の効果が乏しく,心エコーにて三尖弁に疣贅の付着を認め,感染性心内膜炎の診断で当科紹介となった.重篤な肺膿瘍を合併していたため,十分な抗菌薬加療が必要と判断し保存的加療を選択した.適切な抗菌薬にて症状および肺膿瘍は改善を得たが,弁破壊による三尖弁閉鎖不全の増悪と右心不全を認めたため,疣腫摘出および三尖弁形成術を行った.術後は呼吸器合併症の出現なく経過し,術前と合わせ6週間の抗菌...
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Published in | 日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 46; no. 6; pp. 301 - 304 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
2017
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Subjects | |
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ISSN | 0285-1474 1883-4108 |
DOI | 10.4326/jjcvs.46.301 |
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Summary: | 症例は25歳の女性.幼少期よりアトピー性皮膚炎の既往がある.呼吸困難感,発熱,咳嗽,血痰を主訴に近医を受診した.胸部レントゲン検査では両側肺にまだら状の浸潤影を認め,肺炎の診断で抗菌薬による加療を開始された.しかし,抗菌薬の効果が乏しく,心エコーにて三尖弁に疣贅の付着を認め,感染性心内膜炎の診断で当科紹介となった.重篤な肺膿瘍を合併していたため,十分な抗菌薬加療が必要と判断し保存的加療を選択した.適切な抗菌薬にて症状および肺膿瘍は改善を得たが,弁破壊による三尖弁閉鎖不全の増悪と右心不全を認めたため,疣腫摘出および三尖弁形成術を行った.術後は呼吸器合併症の出現なく経過し,術前と合わせ6週間の抗菌薬加療を行い,術後19日目に独歩退院となった.今回,われわれは重篤な肺膿瘍を合併した三尖弁位感染性心内膜炎に対し,保存的加療を先行した後に待機的に手術を行うことで良好な術後経過を得ることができた1例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 0285-1474 1883-4108 |
DOI: | 10.4326/jjcvs.46.301 |