敗血症性DICにおけるリコンビナントトロンボモジュリンとアンチトロンビン製剤の併用療法の有用性
【目的】敗血症に合併した播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療におけるアンチトロンビン(AT)製剤とリコンビナントトロンボモジュリン(rTM)の併用療法の有効性をretrospective historical cohort studyにより検証する。【対象と方法】急性期DIC診断基準によって診断されたDICを合併し,AT製剤を使用して治療を行った重症敗血症111症例を対象とした。AT製剤のみで治療した対照群60例と,AT製剤に加えてrTMを投与した併用群51例とに分類して治療開始7日目までの凝血学的指標,急性期DIC score,SOFA score等の経時変化を比較した。また治療開始から2...
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Published in | 日本救急医学会雑誌 Vol. 24; no. 3; pp. 119 - 131 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本救急医学会
2013
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Summary: | 【目的】敗血症に合併した播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療におけるアンチトロンビン(AT)製剤とリコンビナントトロンボモジュリン(rTM)の併用療法の有効性をretrospective historical cohort studyにより検証する。【対象と方法】急性期DIC診断基準によって診断されたDICを合併し,AT製剤を使用して治療を行った重症敗血症111症例を対象とした。AT製剤のみで治療した対照群60例と,AT製剤に加えてrTMを投与した併用群51例とに分類して治療開始7日目までの凝血学的指標,急性期DIC score,SOFA score等の経時変化を比較した。また治療開始から28日目までの転帰をKaplan-Meier法により比較検討した。【結果】対照群に比して併用群は治療開始時の血小板数が低値で,SIRS陽性項目数とDIC scoreが高値であったが,その他のパラメーターに関しては両群間に差を認めなかった。治療期間内の各指標の変化を比較したところ,血小板数・D-dimer値・SIRS陽性項目数・DIC scoreにおいて併用群が対照群に比して有意な改善を示したが,PT比・フィブリノゲン値・AT活性値には両群間で差を認めなかった。また併用群ではSOFA scoreの推移に関しても有意な改善が示された。出血性合併症の頻度は両群間に差を認めなかった。転帰の比較では併用群の28日生存は51例中44例(生存率86.3%)で,対照群の60例中36例(生存率60%)に比して良好であった(p=0.0016)。rTMの併用による生存率の改善はAPACHE II scoreが25以上,もしくはAT活性が50%未満の重症症例で認められ,APACHE II scoreが25未満,もしくはAT活性が50%以上の症例では有意な改善効果は認められなかった。多変量解析では治療開始時のAT活性とrTM製剤の投与が28日生存に及ぼす有意な予後規定因子であることが判明した。【結語】AT製剤とrTMの併用療法は,AT製剤単独治療に比較して敗血症性DICにおける凝血学的異常や臓器障害を早期に軽減させて生存率を改善させることが判明した。とくに重症症例に対しては,併用療法が新たな有用な治療法になりうることが示唆された。 |
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ISSN: | 0915-924X 1883-3772 |
DOI: | 10.3893/jjaam.24.119 |