CYP2D6遺伝子多型検査を経て酵素補充療法から基質合成抑制療法へ変更したゴーシェ病I型の1例

30歳代・女性,4歳時に脾腫・血⼩板減少・貧血を指摘された.骨髄穿刺にてゴーシェ細胞の検出,グルコセレブロシダーゼ酵素活性の低下及び臨床所見から,ゴーシェ病I型と診断された.Glucocerebrosidase(GBA)遺伝子変異はL444P/R433Gであった.12歳の時に治験でアルグルセラーゼによる酵素補充療法を開始した.その後,イミグルセラーゼに変更.肝脾腫は改善していた.経口投与可能なエリグルスタットが承認されたため,cytochrome p450(CYP)2D6の遺伝子多型を測定し,基質合成抑制療法に変更した.基質合成抑制療法に変更したことにより通院や点滴の負担が軽減しquality...

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Published in肝臓 Vol. 59; no. 5; pp. 243 - 251
Main Authors 小林, 剛, 戸島, 洋貴, 柿崎, 暁, 佐藤, 賢, 金山, 雄樹, 浦岡, 俊夫, 大津, 義晃, 山崎, 勇一, 井田, 博幸, 堀口, 昇男, 植原, 大介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 20.05.2018
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.59.243

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Summary:30歳代・女性,4歳時に脾腫・血⼩板減少・貧血を指摘された.骨髄穿刺にてゴーシェ細胞の検出,グルコセレブロシダーゼ酵素活性の低下及び臨床所見から,ゴーシェ病I型と診断された.Glucocerebrosidase(GBA)遺伝子変異はL444P/R433Gであった.12歳の時に治験でアルグルセラーゼによる酵素補充療法を開始した.その後,イミグルセラーゼに変更.肝脾腫は改善していた.経口投与可能なエリグルスタットが承認されたため,cytochrome p450(CYP)2D6の遺伝子多型を測定し,基質合成抑制療法に変更した.基質合成抑制療法に変更したことにより通院や点滴の負担が軽減しquality of life(QOL)が改善した.一方,基質合成抑制療法は薬物代謝酵素CYP2D6の遺伝子多型により血中濃度が左右され,薬物相互作用にも注意する必要がある.稀少疾患でもあり,切り替え症例は少なく有用な情報と考え報告した.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.59.243