粘液癌との鑑別が困難であった乳腺多形性腺腫の1例
症例は79歳,女性.胸腔内精査の目的で施行した胸部CTにて左乳房腫瘤を指摘され,当科紹介となった.初診時,マンモグラフィと超音波検査にて左傍乳輪部に3.4×2.0×3.3cm大の分葉形腫瘤を認めたが,針生検組織では良悪性の鑑別が困難であった.乳房MRIでの造影所見は悪性パターンを呈し,粘液癌が疑われた.確定診断のために左乳房部分切除を施行した.術後病理組織所見では,乳管上皮周囲で紡錘形筋上皮細胞が増殖し,多彩な組織像を呈していた.一部に粘液産生や軟骨形成を伴い,乳腺多形腺腫と診断した.多形腺腫は唾液腺に好発する良性混合腫瘍であり,乳腺原発は極めてまれである.今回われわれは,粘液癌との鑑別が困難...
Saved in:
Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 6; pp. 1491 - 1496 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2014
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.75.1491 |
Cover
Summary: | 症例は79歳,女性.胸腔内精査の目的で施行した胸部CTにて左乳房腫瘤を指摘され,当科紹介となった.初診時,マンモグラフィと超音波検査にて左傍乳輪部に3.4×2.0×3.3cm大の分葉形腫瘤を認めたが,針生検組織では良悪性の鑑別が困難であった.乳房MRIでの造影所見は悪性パターンを呈し,粘液癌が疑われた.確定診断のために左乳房部分切除を施行した.術後病理組織所見では,乳管上皮周囲で紡錘形筋上皮細胞が増殖し,多彩な組織像を呈していた.一部に粘液産生や軟骨形成を伴い,乳腺多形腺腫と診断した.多形腺腫は唾液腺に好発する良性混合腫瘍であり,乳腺原発は極めてまれである.今回われわれは,粘液癌との鑑別が困難であった乳腺多形腺腫の1例を経験したので,文献的考察を含めて報告する. |
---|---|
ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.75.1491 |