漿膜下層に腺癌成分を認めた胆嚢原発腺内分泌細胞癌の1例
胆嚢を原発とする腺内分泌細胞癌はまれで,通常,表層に腺癌,深層に内分泌細胞癌があると報告され,予後不良とされる.今回われわれは病理組織像が通常と異なる胆嚢腺内分泌細胞癌の1例を経験した.症例は85歳男性.直腸癌術後3年6カ月のCT,EUS,MRIで胆嚢に腫瘤を認め胆嚢癌と診断した.腫瘍が肝床から距離があること,高齢であることを考慮し,開腹下に胆嚢全層切除を行ったが,No.13aリンパ節の腫大と術中迅速診でNo.13aリンパ節と胆嚢管断端に癌細胞を認め肝外胆管切除,D2郭清を付加した.病理組織学所見では表層に充実性の胞巣を形成しCD56の免疫染色で陽性を示す内分泌細胞癌を,深層に腺管を形成する腺...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 8; pp. 2300 - 2306 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2014
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.75.2300 |
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Summary: | 胆嚢を原発とする腺内分泌細胞癌はまれで,通常,表層に腺癌,深層に内分泌細胞癌があると報告され,予後不良とされる.今回われわれは病理組織像が通常と異なる胆嚢腺内分泌細胞癌の1例を経験した.症例は85歳男性.直腸癌術後3年6カ月のCT,EUS,MRIで胆嚢に腫瘤を認め胆嚢癌と診断した.腫瘍が肝床から距離があること,高齢であることを考慮し,開腹下に胆嚢全層切除を行ったが,No.13aリンパ節の腫大と術中迅速診でNo.13aリンパ節と胆嚢管断端に癌細胞を認め肝外胆管切除,D2郭清を付加した.病理組織学所見では表層に充実性の胞巣を形成しCD56の免疫染色で陽性を示す内分泌細胞癌を,深層に腺管を形成する腺癌を認め,腺内分泌細胞癌と診断したが,これは通常の報告とは逆の組織配列であった.本症例は腺内分泌細胞癌が,多分化能を有する前駆細胞が同時に腺癌,内分泌細胞癌に分化し発生したことを示す症例と考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.75.2300 |