S状結腸腹膜垂と左外側臍襞との癒着による腸閉塞の1例

開腹歴のない,S状結腸腹膜垂を原因とする稀な腸閉塞に対し,腹腔鏡下手術を行ったので報告する.症例は開腹歴のない49歳男性で急性発症の腹痛を主訴に来院した.腹部所見と腹部造影CTから絞扼性腸閉塞が疑われたが,絞扼の原因はCT所見から明らかにできなかった.原因精査を兼ね緊急腹腔鏡下手術を行った.術中所見では,S状結腸腹膜垂が左外側臍襞へ癒着してできた孔へ小腸がループ状に入り込んでいた.癒着部を切離し腸閉塞を解除した.小腸には虚血を示す色調変化を認めたが術中に改善を確認したため小腸切除は行わなかった.術後経過は良好で4日目に退院した.S状結腸腹膜垂による腸閉塞は会議録を除き本邦で11例報告があるが,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 7; pp. 1937 - 1940
Main Authors 良永, 康雄, 吉田, 卓義, 李, 俊容, 米神, 裕介, 長谷川, 俊二, 小西, 文雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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Summary:開腹歴のない,S状結腸腹膜垂を原因とする稀な腸閉塞に対し,腹腔鏡下手術を行ったので報告する.症例は開腹歴のない49歳男性で急性発症の腹痛を主訴に来院した.腹部所見と腹部造影CTから絞扼性腸閉塞が疑われたが,絞扼の原因はCT所見から明らかにできなかった.原因精査を兼ね緊急腹腔鏡下手術を行った.術中所見では,S状結腸腹膜垂が左外側臍襞へ癒着してできた孔へ小腸がループ状に入り込んでいた.癒着部を切離し腸閉塞を解除した.小腸には虚血を示す色調変化を認めたが術中に改善を確認したため小腸切除は行わなかった.術後経過は良好で4日目に退院した.S状結腸腹膜垂による腸閉塞は会議録を除き本邦で11例報告があるが,完全腹腔鏡下に治療を終えたのは自験例のみであった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.1937