腹腔内遊離ガスを伴った膀胱自然破裂の1例

症例は78歳,男性.突然の右下腹部痛を主訴に前医を受診.消化管穿孔が疑われ当センターへ紹介となった.腹部造影CT検査にて腹腔内遊離ガスと腹水の貯留を認めた.また膀胱前壁に接しガスを伴う液体貯留を認めた.消化管穿孔を否定しきれず同日試験開腹術を行った.術中,消化管には異常を認めなかった.術後3日目に逆行性膀胱造影を行い膀胱穿孔と診断した.尿道留置カテーテルによって尿のドレナージは良好であることから保存的治療を行い軽快した.膀胱自然破裂はまれな疾患であり,臨床症状も様々であることから術前正診率が低く,他の急性腹症との鑑別が問題となる.本症例と文献的考察から膀胱周囲の液体貯留やガス像といった腹膜外の...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 4; pp. 1081 - 1085
Main Authors 北岡, 寬教, 川井, 廉之, 瓜園, 泰之, 奥地, 一夫, 畑, 倫明, 關, 匡彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.1081

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Summary:症例は78歳,男性.突然の右下腹部痛を主訴に前医を受診.消化管穿孔が疑われ当センターへ紹介となった.腹部造影CT検査にて腹腔内遊離ガスと腹水の貯留を認めた.また膀胱前壁に接しガスを伴う液体貯留を認めた.消化管穿孔を否定しきれず同日試験開腹術を行った.術中,消化管には異常を認めなかった.術後3日目に逆行性膀胱造影を行い膀胱穿孔と診断した.尿道留置カテーテルによって尿のドレナージは良好であることから保存的治療を行い軽快した.膀胱自然破裂はまれな疾患であり,臨床症状も様々であることから術前正診率が低く,他の急性腹症との鑑別が問題となる.本症例と文献的考察から膀胱周囲の液体貯留やガス像といった腹膜外の所見は本疾患を疑うべき所見である可能性が示唆された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.1081