Bochdalek孔に嵌頓した胃の穿孔によると思われた膿胸の1例

患者は42歳女性で,発熱・前胸部痛・左肩痛を主訴に受診した.精査の結果,左膿胸の診断で入院した.第7病日摂食後に胸腔ドレーンより残渣物が排出されたため外科紹介となった.胸腹部CTで左膿胸を認め,上部消化管内視鏡検査で胃穹窿部に潰瘍性病変を認めた.造影すると膿瘍腔が造影された.以上より,胃穿孔による左膿胸と診断した.感染コントロールが良好であり,癌が否定しきれなかったためPPI・抗生剤での保存治療を先行した.病理組織学検査所見では悪性所見は認めなかった.上部消化管内視鏡検査を再検すると,潰瘍底が穿通し瘻孔が太く造影されたため,第57病日に横隔膜合併胃部分切除術を施行した.術後経過は良好で術後 2...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 6; pp. 1532 - 1536
Main Authors 小倉, 淳司, 井上, 昌也, 岡田, 禎人, 林, 英司, 前田, 隆雄, 岸本, 拓磨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:患者は42歳女性で,発熱・前胸部痛・左肩痛を主訴に受診した.精査の結果,左膿胸の診断で入院した.第7病日摂食後に胸腔ドレーンより残渣物が排出されたため外科紹介となった.胸腹部CTで左膿胸を認め,上部消化管内視鏡検査で胃穹窿部に潰瘍性病変を認めた.造影すると膿瘍腔が造影された.以上より,胃穿孔による左膿胸と診断した.感染コントロールが良好であり,癌が否定しきれなかったためPPI・抗生剤での保存治療を先行した.病理組織学検査所見では悪性所見は認めなかった.上部消化管内視鏡検査を再検すると,潰瘍底が穿通し瘻孔が太く造影されたため,第57病日に横隔膜合併胃部分切除術を施行した.術後経過は良好で術後 28日目に退院した.術後の病理組織学検査所見でも悪性所見は認めなかった.今回われわれはBochdalek孔ヘルニアに嵌頓した胃の穿孔によると思われた膿胸の1例を経験したので文献的考察を含め報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.1532