腹部鈍的外傷により遅発性大腸狭窄をきたした2例

症例1は69歳,女性.交通事故で受傷し当院に搬送された.腹部CTで左結腸間膜に造影剤の漏出を認め,腸間膜損傷による腹腔内出血と診断,他院へ転送した.他院で血管造影を施行,術中に血管孿縮を生じ自然止血し,状態は安定した.その後,受傷6日目に当院に転院したが,直後から下腹部痛が出現,腹部CTで下行結腸S状結腸移行部に血腫と気腫を認めた.保存的療法で自覚症状は改善するも,受傷37日目のCFで大腸狭窄と診断した.受傷63日目 結腸切除術を施行,術後15日目に退院した. 症例2は29歳,男性.腹部打撲で当院受診,臓器損傷の所見は認めず腹部打撲と診断.保存的に症状は改善し受傷4日目に退院した.その後,受傷...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 6; pp. 1583 - 1589
Main Authors 若山, 昌彦, 神谷, 誠, 鈴木, 敏之, 松本, 裕史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.1583

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Summary:症例1は69歳,女性.交通事故で受傷し当院に搬送された.腹部CTで左結腸間膜に造影剤の漏出を認め,腸間膜損傷による腹腔内出血と診断,他院へ転送した.他院で血管造影を施行,術中に血管孿縮を生じ自然止血し,状態は安定した.その後,受傷6日目に当院に転院したが,直後から下腹部痛が出現,腹部CTで下行結腸S状結腸移行部に血腫と気腫を認めた.保存的療法で自覚症状は改善するも,受傷37日目のCFで大腸狭窄と診断した.受傷63日目 結腸切除術を施行,術後15日目に退院した. 症例2は29歳,男性.腹部打撲で当院受診,臓器損傷の所見は認めず腹部打撲と診断.保存的に症状は改善し受傷4日目に退院した.その後,受傷16日目に腹痛を自覚し,再度外来受診した.精査の結果,大腸狭窄と診断,受傷34日目に手術を施行した. 稀ではあるが,腹部鈍的外傷後に遅発性大腸狭窄をきたす可能性があり,長期的な経過観察が必要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.1583