大動脈弁位感染性心内膜炎に対する大動脈弁形成術の1例

大動脈弁位感染性心内膜炎は弁輪部膿瘍などの構造的破壊を来しやすく,大動脈弁置換術が一般的な手術法である.しかし,大動脈弁形態の理解がすすみ,感染性心内膜炎においても大動脈弁形成術の報告が散見されるようになっている.今回われわれはα-Streptococcusを起因菌とする大動脈弁位感染性心内膜炎に対する大動脈弁形成術を施行し,良好な結果であったため報告する.症例は50歳男性,2カ月前からの不明熱のため当院を紹介された.経胸壁心臓超音波検査(UCG)で大動脈弁位感染性心内膜炎と診断し,経食道心臓超音波検査(TEE)で右冠尖(RCC),無冠尖(NCC)に疣贅を認めたが,大動脈弁逆流(AR)はmil...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 48; no. 2; pp. 115 - 118
Main Authors 小川, 辰士, 水野, 明宏, 在國寺, 健太, 齊藤, 慈円, 須田, 久雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.03.2019
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.48.115

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Summary:大動脈弁位感染性心内膜炎は弁輪部膿瘍などの構造的破壊を来しやすく,大動脈弁置換術が一般的な手術法である.しかし,大動脈弁形態の理解がすすみ,感染性心内膜炎においても大動脈弁形成術の報告が散見されるようになっている.今回われわれはα-Streptococcusを起因菌とする大動脈弁位感染性心内膜炎に対する大動脈弁形成術を施行し,良好な結果であったため報告する.症例は50歳男性,2カ月前からの不明熱のため当院を紹介された.経胸壁心臓超音波検査(UCG)で大動脈弁位感染性心内膜炎と診断し,経食道心臓超音波検査(TEE)で右冠尖(RCC),無冠尖(NCC)に疣贅を認めたが,大動脈弁逆流(AR)はmildであった.約1カ月の抗生剤治療により熱型,炎症反応ともに改善したがARは徐々に進行し手術の方針となった.大動脈弁を観察するとNCCの弁腹に穿孔,RCCの弁尖先端部に疣贅を認め,RCCの一部は裂開していた.疣贅を慎重に除去した後,NCCの穿孔を自己心膜で修復し,RCCの裂開部は6-0ポリプロピレン糸で直接縫合閉鎖した.術中TEEでARはtrivialであった.術後経過は良好で術後7日に退院した.術後5日,1カ月,3カ月,12カ月に施行したUCGではARはtrivialと逆流は良好に制御されており,抗生剤は術後3カ月で中止したが,現在まで感染の再燃なく経過している.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.48.115