重篤な合併症を併発した放射線性喉頭壊死の1症例

化学放射線療法は頭頸部癌,特に局所進行頭頸部癌の治療において,局所制御率が高く,喉頭機能温存の点で優れた治療法である。しかし化学放射線治療は皮膚障害,粘膜障害,造血障害などの早期合併症や喉頭壊死,骨壊死,嚥下障害,放射線誘発癌などの晩期合併症を招く可能性がある。中でも喉頭壊死は保存的加療で制御困難な場合,喉頭全摘出術を要することもあり慎重な経過観察が必要である。 今回われわれは喉頭癌に対して化学放射線療法後,約10年を経て喉頭狭窄から喉頭壊死,頸椎壊死および椎骨動脈破綻と次々に重篤な合併症を併発し,治療に難渋した症例を経験した。本症例のように重篤な合併症を重複した報告はないが,晩期合併症は感染...

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Published in頭頸部外科 Vol. 25; no. 1; pp. 79 - 84
Main Authors 野本, 剛輝, 武田, 淳雄, 勝部, 泰彰, 船戸, 宣利, 田村, 理恵, 伊藤, 博之, 鈴木, 衞, 清水, 顕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2015
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.25.79

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Summary:化学放射線療法は頭頸部癌,特に局所進行頭頸部癌の治療において,局所制御率が高く,喉頭機能温存の点で優れた治療法である。しかし化学放射線治療は皮膚障害,粘膜障害,造血障害などの早期合併症や喉頭壊死,骨壊死,嚥下障害,放射線誘発癌などの晩期合併症を招く可能性がある。中でも喉頭壊死は保存的加療で制御困難な場合,喉頭全摘出術を要することもあり慎重な経過観察が必要である。 今回われわれは喉頭癌に対して化学放射線療法後,約10年を経て喉頭狭窄から喉頭壊死,頸椎壊死および椎骨動脈破綻と次々に重篤な合併症を併発し,治療に難渋した症例を経験した。本症例のように重篤な合併症を重複した報告はないが,晩期合併症は感染を契機に発症するため,同一照射野に同時に症状が出ることを念頭に置いた治療が重要であると思われた。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.25.79