術前に胃原発神経内分泌腫瘍と診断した胃glomus腫瘍の1例

症例は41歳,女性.検診の上部消化管造影検査にて胃粘膜下腫瘍を指摘され精査目的に当院を受診した.上部消化管内視鏡検査にて胃前庭部に正常粘膜に覆われた隆起性病変を認め,EUS-FNAにてNET-G1と診断した. 手術は術中超音波検査を併用し腹腔鏡下胃局所切除術を施行した.組織学的所見では,異型に乏しい均一な円形細胞が豊富な血管を介在し増殖しており,免疫染色にて胃glomus腫瘍と診断した. Glomus腫瘍は四肢や体幹の皮下に好発する非上皮性腫瘍であり,消化管での発生は稀であるが,その多くは胃原発である.腫瘍の稀少さと組織学的特徴から診断が難しい腫瘍であるが,EUS-FNAと免疫染色が診断に最も...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 8; pp. 1896 - 1900
Main Authors 梅本, 一史, 大野, 耕一, 村川, 力彦, 鈴木, 友啓, 平野, 聡, 山村, 喜之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.1896

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Summary:症例は41歳,女性.検診の上部消化管造影検査にて胃粘膜下腫瘍を指摘され精査目的に当院を受診した.上部消化管内視鏡検査にて胃前庭部に正常粘膜に覆われた隆起性病変を認め,EUS-FNAにてNET-G1と診断した. 手術は術中超音波検査を併用し腹腔鏡下胃局所切除術を施行した.組織学的所見では,異型に乏しい均一な円形細胞が豊富な血管を介在し増殖しており,免疫染色にて胃glomus腫瘍と診断した. Glomus腫瘍は四肢や体幹の皮下に好発する非上皮性腫瘍であり,消化管での発生は稀であるが,その多くは胃原発である.腫瘍の稀少さと組織学的特徴から診断が難しい腫瘍であるが,EUS-FNAと免疫染色が診断に最も重要である.胃glomus腫瘍に対する手術は腹腔鏡下胃局所切除術が適切な術式となり得ると考えられ,術中超音波検査や術中消化管内視鏡検査の併用で,より安全な手術操作が期待できる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.1896