病院前救急医療としての外科的気道確保についての後方視的検討

【目的】本邦では病院前救急医療としての外科的気道確保に関する知見が少ないため,その詳細を明らかにする。【方法】2006年4月から2011年6月までにドクターカーで現場活動し,外科的気道確保を行った症例を後ろ向きに検討した。【結果】現場活動は6,102例,確実な気道確保を要した症例は1,217例で,そのうち外科的気道確保は8例(0.66%)であった。年齢の中央値は67歳,気道閉塞(7例)が最多の原因であった。気管挿管を試みた回数の中央値は2回であるが,患者接触から外科的気道確保までの時間の中央値は17.5分であり,回数に比して時間を要した。28日後には現着時心肺停止を除く5例中4例が生存した。外...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本集中治療医学会雑誌 Vol. 22; no. 2; pp. 105 - 111
Main Authors 重光, 胤明, 澤野, 宏隆, 夏川, 知輝, 林, 靖之, 甲斐, 達朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本集中治療医学会 2015
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:【目的】本邦では病院前救急医療としての外科的気道確保に関する知見が少ないため,その詳細を明らかにする。【方法】2006年4月から2011年6月までにドクターカーで現場活動し,外科的気道確保を行った症例を後ろ向きに検討した。【結果】現場活動は6,102例,確実な気道確保を要した症例は1,217例で,そのうち外科的気道確保は8例(0.66%)であった。年齢の中央値は67歳,気道閉塞(7例)が最多の原因であった。気管挿管を試みた回数の中央値は2回であるが,患者接触から外科的気道確保までの時間の中央値は17.5分であり,回数に比して時間を要した。28日後には現着時心肺停止を除く5例中4例が生存した。外科的気道確保に関連する合併症はなかった。【結論】気道閉塞が外科的気道確保の最多の原因であった。生存率は良好だが病院前救急医療では様々な制限により外科的気道確保までに時間を要するため,これを短縮することが課題である。
ISSN:1340-7988
1882-966X
DOI:10.3918/jsicm.22.105