術後早期の経腸栄養投与中に非閉塞性腸間膜虚血を発症した1例

症例は71歳男性。胃癌の診断で胃全摘術を施行し,術後食道空腸吻合部の縫合不全あり,第4病日から経腸栄養を開始した。第7病日に抗生剤の変更を行ったところ,アナフィラキシーショックを起こし,アドレナリン静脈内投与で軽快した。経腸栄養を再開したところ,強い腹痛あり,CTでは腸管壁内気腫と門脈内ガス像を認め,腸管壊死の疑いで試験開腹を行った。腸管の虚血所見はあるも明らかな壊死所見なく,翌日にsecond lookを行い,腸切除は行わず保存的治療で軽快した。術後早期の経腸栄養は,在院日数や術後合併症の低減に寄与するといわれ,近年では積極的に術後早期の経腸栄養投与が行われている。しかし,経腸栄養の合併症に...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 6; pp. 1121 - 1125
Main Authors 尾崎, 正彦, 平田, 篤史, 岡崎, 靖史, 松原, 久裕, 篠藤, 浩一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2018
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.1121

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Summary:症例は71歳男性。胃癌の診断で胃全摘術を施行し,術後食道空腸吻合部の縫合不全あり,第4病日から経腸栄養を開始した。第7病日に抗生剤の変更を行ったところ,アナフィラキシーショックを起こし,アドレナリン静脈内投与で軽快した。経腸栄養を再開したところ,強い腹痛あり,CTでは腸管壁内気腫と門脈内ガス像を認め,腸管壊死の疑いで試験開腹を行った。腸管の虚血所見はあるも明らかな壊死所見なく,翌日にsecond lookを行い,腸切除は行わず保存的治療で軽快した。術後早期の経腸栄養は,在院日数や術後合併症の低減に寄与するといわれ,近年では積極的に術後早期の経腸栄養投与が行われている。しかし,経腸栄養の合併症に非閉塞性腸間膜虚血や腸管壊死があることは本邦ではあまり広く知られていない。今回われわれは,術後早期の経腸栄養投与中に腸管壊死が疑われ試験開腹を行った1例を経験したので,文献的考察を加え報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.1121