Direct Kugel法術後に発症した腸閉塞の1例

今回われわれは,direct Kugel法術後にイレウスを発症した1例を経験したため報告する.症例は,81歳の男性.右鼠径ヘルニアに対してdirect Kugel法を施行した.術後翌日よりイレウスを発症し,術後10日目に腹腔鏡下イレウス解除術を施行した.イレウスの原因は,初回手術により腹膜欠損が生じ,欠損孔から腹膜前腔へ小腸が迷入しメッシュと強固に癒着していたためと考えられた.虫垂炎術後の既往があり,右下腹部の腹膜癒着が腹膜損傷の誘因となったと推測された.下腹部手術歴のある患者では,腹膜前腔の剥離操作は慎重に行う必要性があった.鼠径ヘルニア手術による術後イレウスは稀な合併症であり,なかでも本症...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 6; pp. 1570 - 1574
Main Authors 今井, 良典, 友藤, 克博, 梶原, 伸介, 渡邊, 常太, 石田, 直樹, 中川, 祐輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.1570

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Summary:今回われわれは,direct Kugel法術後にイレウスを発症した1例を経験したため報告する.症例は,81歳の男性.右鼠径ヘルニアに対してdirect Kugel法を施行した.術後翌日よりイレウスを発症し,術後10日目に腹腔鏡下イレウス解除術を施行した.イレウスの原因は,初回手術により腹膜欠損が生じ,欠損孔から腹膜前腔へ小腸が迷入しメッシュと強固に癒着していたためと考えられた.虫垂炎術後の既往があり,右下腹部の腹膜癒着が腹膜損傷の誘因となったと推測された.下腹部手術歴のある患者では,腹膜前腔の剥離操作は慎重に行う必要性があった.鼠径ヘルニア手術による術後イレウスは稀な合併症であり,なかでも本症例のように腹膜欠損部に起因する発症形態も念頭に置き,早期の発見,治療が重要であると思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.1570