壊死腸管切除後に遅発性小腸穿孔を認めた糞便性・閉塞性大腸炎の1例

症例は69歳の女性.腹痛を主訴に近医受診.症状悪化したため翌日当院に救急搬送された.腹部は著明に膨満し圧痛を認めた.腹部造影CTでは下行結腸から直腸に糞便が充満しショック状態で代謝性アシドーシスを認めることから腸管壊死を疑い緊急手術を行った.手術所見では拡張腸管の粘膜壊死像が透見され,広範囲壊死を疑い結腸亜全摘,回腸瘻およびS状結腸粘液瘻造設を施行した.術後第8病日にドレーンより腸液の漏出を認め再手術を施行した.回腸瘻から口側10cmから70cmにわたり多発穿孔を認め,同部位を切除し回腸瘻を再造設した.術後は状態安定し術後109病日目に退院となった.閉塞性大腸炎では大腸壊死とともに術後の残存腸...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 6; pp. 1590 - 1595
Main Authors 後藤, 順一, 棟方, 隆, 小沼, 由治, 有山, 悌三, 水上, 周二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.1590

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Summary:症例は69歳の女性.腹痛を主訴に近医受診.症状悪化したため翌日当院に救急搬送された.腹部は著明に膨満し圧痛を認めた.腹部造影CTでは下行結腸から直腸に糞便が充満しショック状態で代謝性アシドーシスを認めることから腸管壊死を疑い緊急手術を行った.手術所見では拡張腸管の粘膜壊死像が透見され,広範囲壊死を疑い結腸亜全摘,回腸瘻およびS状結腸粘液瘻造設を施行した.術後第8病日にドレーンより腸液の漏出を認め再手術を施行した.回腸瘻から口側10cmから70cmにわたり多発穿孔を認め,同部位を切除し回腸瘻を再造設した.術後は状態安定し術後109病日目に退院となった.閉塞性大腸炎では大腸壊死とともに術後の残存腸管壊死の可能性を常に考慮し,術後も不安定な循環動態が遷延する症例では腸管壊死の徴候が見られた場合は再開腹をためらうべきではないと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.1590