術前にFOLFIRI+Bevを使用し膀胱温存可能となった大腸癌の1例
症例は73歳の男性,主訴は排便困難感.精査にて膀胱結腸瘻を伴う直腸S状部癌,cT4N0M0 cStage IIと診断した.根治手術には膀胱全摘術が必要と判断されたため,膀胱温存をめざした術前化学療法の方針とした.S状結腸に双孔式人工肛門造設後,FOLFIRI+Bevacizumab(10mg/kg)レジメン9コースとFOLFIRIレジメン3コースを施行した.腹部CT検査で膀胱浸潤の縮小と膀胱結腸瘻の消失,膀胱鏡で粘膜の正常化を認めたため,膀胱温存が可能と判断して手術を施行した.手術所見では浸潤範囲の縮小を認め,直腸高位前方切除術+膀胱部分切除術を施行し,病理学的根治治療が得られた. 今回われわ...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 8; pp. 1980 - 1984 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2015
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.76.1980 |
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Summary: | 症例は73歳の男性,主訴は排便困難感.精査にて膀胱結腸瘻を伴う直腸S状部癌,cT4N0M0 cStage IIと診断した.根治手術には膀胱全摘術が必要と判断されたため,膀胱温存をめざした術前化学療法の方針とした.S状結腸に双孔式人工肛門造設後,FOLFIRI+Bevacizumab(10mg/kg)レジメン9コースとFOLFIRIレジメン3コースを施行した.腹部CT検査で膀胱浸潤の縮小と膀胱結腸瘻の消失,膀胱鏡で粘膜の正常化を認めたため,膀胱温存が可能と判断して手術を施行した.手術所見では浸潤範囲の縮小を認め,直腸高位前方切除術+膀胱部分切除術を施行し,病理学的根治治療が得られた. 今回われわれは,膀胱浸潤に伴う直腸S状部癌に対して術前化学療法を施行し,膀胱全摘術が回避できた1例を経験したため報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.76.1980 |