再発により2回の腹腔鏡下天蓋切除術を施行した真性脾嚢胞の1例

症例は23歳,女性.貧血の精査にて腹部超音波検査を施行したところ径5.0cmの脾嚢胞を指摘された.1年後に嚢胞径が8.8cmと増大し,食後の左側腹部痛が出現したため手術の適応と判断し,腹腔鏡下天蓋切除術を施行した.病理検査は真性嚢胞(epithelial cyst)の診断であった.術後経過良好にて退院となったが,手術の3週間後に左上腹部痛が出現した.腹部超音波検査およびCTにて約7cmの嚢胞の再発を認めたため,再度腹腔鏡下天蓋切除術を充分に行い,さらに脾門部付近の嚢胞壁切除を追加した.なお,初回手術,再手術とも嚢胞内壁をアルゴンビームコアギュレーターで焼灼した.再手術後8カ月を経過したが,再々...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 6; pp. 1694 - 1699
Main Authors 砂原, 正男, 倉内, 宣明, 鈴木, 伸作, 木村, 純
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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Summary:症例は23歳,女性.貧血の精査にて腹部超音波検査を施行したところ径5.0cmの脾嚢胞を指摘された.1年後に嚢胞径が8.8cmと増大し,食後の左側腹部痛が出現したため手術の適応と判断し,腹腔鏡下天蓋切除術を施行した.病理検査は真性嚢胞(epithelial cyst)の診断であった.術後経過良好にて退院となったが,手術の3週間後に左上腹部痛が出現した.腹部超音波検査およびCTにて約7cmの嚢胞の再発を認めたため,再度腹腔鏡下天蓋切除術を充分に行い,さらに脾門部付近の嚢胞壁切除を追加した.なお,初回手術,再手術とも嚢胞内壁をアルゴンビームコアギュレーターで焼灼した.再手術後8カ月を経過したが,再々発を認めていない.脾嚢胞は若年女性に多く,悪性例がごくまれであることなどから,脾機能を温存でき,整容性にも優れる腹腔鏡下天蓋切除術が有用な術式と考えられるが,ときに再発を認めることから,手術施行および経過観察時には注意が必要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.1694