腹壁膿瘍を形成したS状結腸癌に対して腹腔鏡下手術を施行した1例

症例は81歳,女性。発熱,腹部腫瘤を主訴に来院し,左側腹部に発赤,疼痛,圧痛を伴う10cm大の腫瘤を認めた。腹部CTでS状結腸腫瘍およびそれと連続する腹壁膿瘍を認めた。腹壁膿瘍に切開排膿とMeropenem Hydrate(MEPM)による加療を先行し,その後に,下部消化管内視鏡と注腸造影検査で腹壁穿通を伴うS状結腸癌と直腸S状部癌の二重癌と診断した。入院16病日に腹腔鏡下ハルトマン手術,D3郭清を施行した。術中にS状結腸癌の腹壁への浸潤が疑われ,浸潤した腹壁の一部とともにS状結腸癌および直腸S状部癌の切除を行った。術後経過はおおむね良好で術後27病日に退院となった。このような症例における腹腔...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 6; pp. 1055 - 1058
Main Authors 山田, 翔, 黒田, 紘典, 原, 拓央, 林, 憲吾, 羽田, 匡宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2018
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.1055

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Summary:症例は81歳,女性。発熱,腹部腫瘤を主訴に来院し,左側腹部に発赤,疼痛,圧痛を伴う10cm大の腫瘤を認めた。腹部CTでS状結腸腫瘍およびそれと連続する腹壁膿瘍を認めた。腹壁膿瘍に切開排膿とMeropenem Hydrate(MEPM)による加療を先行し,その後に,下部消化管内視鏡と注腸造影検査で腹壁穿通を伴うS状結腸癌と直腸S状部癌の二重癌と診断した。入院16病日に腹腔鏡下ハルトマン手術,D3郭清を施行した。術中にS状結腸癌の腹壁への浸潤が疑われ,浸潤した腹壁の一部とともにS状結腸癌および直腸S状部癌の切除を行った。術後経過はおおむね良好で術後27病日に退院となった。このような症例における腹腔鏡手術では,低侵襲性が利点として考えられる一方,局所再発を含めた長期的予後に関しては今後も検討が必要と思われた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.1055