椎前部に発生した頸部デスモイド腫瘍の手術例
デスモイド腫瘍は線維芽細胞由来の増殖性疾患である。転移をすることはないが,局所浸潤による隣接臓器障害をきたす。現状では治療において確立されたプロトコルはない。今回われわれは左頸部に発生したデスモイド腫瘍の症例を経験した。症例は69歳の男性で,胸部CTで偶発的に左頸部腫瘤を指摘されて当科を受診した。自覚症状として左の頸部痛を訴えた。画像所見で間葉系腫瘍を疑う所見であり,診断・治療目的で左頸部切開による腫瘍摘出術を行った。永久病理結果はデスモイド腫瘍の診断となった。術後に左声帯麻痺を認めたものの,自然経過で回復した。術後1年の時点では自覚症状であった頸部痛も消失しており,再発なく経過良好である。...
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Published in | 頭頸部外科 Vol. 29; no. 1; pp. 65 - 71 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
2019
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Summary: | デスモイド腫瘍は線維芽細胞由来の増殖性疾患である。転移をすることはないが,局所浸潤による隣接臓器障害をきたす。現状では治療において確立されたプロトコルはない。今回われわれは左頸部に発生したデスモイド腫瘍の症例を経験した。症例は69歳の男性で,胸部CTで偶発的に左頸部腫瘤を指摘されて当科を受診した。自覚症状として左の頸部痛を訴えた。画像所見で間葉系腫瘍を疑う所見であり,診断・治療目的で左頸部切開による腫瘍摘出術を行った。永久病理結果はデスモイド腫瘍の診断となった。術後に左声帯麻痺を認めたものの,自然経過で回復した。術後1年の時点では自覚症状であった頸部痛も消失しており,再発なく経過良好である。 |
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ISSN: | 1349-581X 1884-474X |
DOI: | 10.5106/jjshns.29.65 |