健診で発見された両側多発肺転移を伴った胸腺腫の1例

症例は73歳,男性.健診で胸部単純X線上異常陰影を指摘され,当院呼吸器内科を受診.胸部CTで両側多発肺結節と前縦隔腫瘍を指摘され,確定診断目的に当科へ紹介された. 胸腔鏡補助下に右肺3カ所部分切除術+前縦隔腫瘍摘出術を施行した. 病理診断で前縦隔腫瘍は胸腺腫(TypeB3)であり,右肺結節3カ所は全て胸腺腫の転移と診断された.左肺2カ所の結節に関しても初回手術57日後に摘出切除を施行.組織診断は前縦隔腫瘍・右肺腫瘍と同様,胸腺腫の両側多発肺転移と診断された. 胸腺腫の遠隔転移は比較的稀であり,全ての転移巣が切除可能な症例は極めて稀である.胸腺腫は完全切除が不可能でも可能な限り切除することで生存...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 8; pp. 1754 - 1758
Main Authors 原, 幹太朗, 西山, 典利, 井上, 清俊, 永野, 晃史, 宮本, 光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.1754

Cover

More Information
Summary:症例は73歳,男性.健診で胸部単純X線上異常陰影を指摘され,当院呼吸器内科を受診.胸部CTで両側多発肺結節と前縦隔腫瘍を指摘され,確定診断目的に当科へ紹介された. 胸腔鏡補助下に右肺3カ所部分切除術+前縦隔腫瘍摘出術を施行した. 病理診断で前縦隔腫瘍は胸腺腫(TypeB3)であり,右肺結節3カ所は全て胸腺腫の転移と診断された.左肺2カ所の結節に関しても初回手術57日後に摘出切除を施行.組織診断は前縦隔腫瘍・右肺腫瘍と同様,胸腺腫の両側多発肺転移と診断された. 胸腺腫の遠隔転移は比較的稀であり,全ての転移巣が切除可能な症例は極めて稀である.胸腺腫は完全切除が不可能でも可能な限り切除することで生存期間延長に寄与するとされているため,肺転移を疑っても切除可能であれば積極的に切除してよいと考える.本症例も切除後補助放射線化学療法を行わず,9カ月無再発生存を得ている.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.1754