後縦隔原発脱分化型脂肪肉腫の1例

症例は73歳,女性.2005年12月,胸部レントゲン写真で指摘された左胸部異常陰影の精査目的に当院紹介初診.下部後縦隔内,食道背側,大動脈左側の領域を主座に,後縦隔の空間を押し広げるようにして広がる,浸潤傾向に乏しい径13cm大の腫瘤を認めた.術前診断は,内部に脂肪濃度含む非上皮性腫瘍として,脂肪肉腫を第一に考えた.2006年2月手術施行.周囲臓器への浸潤は認めず,臓器を合併切除することなく腫瘍を摘出しえた.術後経過は良好で術後12日で退院となった.病理所見より,脱分化型脂肪肉腫の診断に至った.追加治療なく経過観察中であるが,手術後15カ月の現在,無再発生存中である.今回,われわれは,後縦隔原...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 1; pp. 28 - 33
Main Authors 神山, 俊哉, 佐治, 裕, 市川, 伸樹, 広瀬, 邦弘, 高橋, 周作
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.28

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Summary:症例は73歳,女性.2005年12月,胸部レントゲン写真で指摘された左胸部異常陰影の精査目的に当院紹介初診.下部後縦隔内,食道背側,大動脈左側の領域を主座に,後縦隔の空間を押し広げるようにして広がる,浸潤傾向に乏しい径13cm大の腫瘤を認めた.術前診断は,内部に脂肪濃度含む非上皮性腫瘍として,脂肪肉腫を第一に考えた.2006年2月手術施行.周囲臓器への浸潤は認めず,臓器を合併切除することなく腫瘍を摘出しえた.術後経過は良好で術後12日で退院となった.病理所見より,脱分化型脂肪肉腫の診断に至った.追加治療なく経過観察中であるが,手術後15カ月の現在,無再発生存中である.今回,われわれは,後縦隔原発の脱分化型脂肪肉腫という稀な1症例を経験したので文献的考察を含めて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.28