腹腔鏡下大腸癌切除術後ポートサイト再発の2例

症例1は73歳,男性.S状結腸癌の診断で腹腔鏡下切除術を施行.術後10カ月目に,転移性肺癌,肝癌に加え,右下腹部のポート挿入部腹壁に再発を認めた.全身化学療法を開始したが,腹壁再発部は増大,疼痛コントロール不良となった.術後18カ月目に姑息的手術としてポートサイト再発部の切除術を施行.全身化学療法を再開したが,状態は悪化,ポートサイト再発部切除術20カ月後に永眠した.症例2は42歳,女性.下行結腸癌の診断にて腹腔鏡下切除術を施行.術後36カ月目に,吻合部再発に加え,右季肋部のポート挿入部腹壁に再発を認めた.他臓器転移なく,根治的手術として再発吻合部切除術,腹壁再発部切除術施行.ポートサイト再発...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 8; pp. 1583 - 1591
Main Authors 伊波, 悠吾, 永田, 直幹, 藤本, 勝士, 日暮, 愛一郎, 笹栗, 毅和, 黒田, 宏昭, 豊福, 篤志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.1583

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Summary:症例1は73歳,男性.S状結腸癌の診断で腹腔鏡下切除術を施行.術後10カ月目に,転移性肺癌,肝癌に加え,右下腹部のポート挿入部腹壁に再発を認めた.全身化学療法を開始したが,腹壁再発部は増大,疼痛コントロール不良となった.術後18カ月目に姑息的手術としてポートサイト再発部の切除術を施行.全身化学療法を再開したが,状態は悪化,ポートサイト再発部切除術20カ月後に永眠した.症例2は42歳,女性.下行結腸癌の診断にて腹腔鏡下切除術を施行.術後36カ月目に,吻合部再発に加え,右季肋部のポート挿入部腹壁に再発を認めた.他臓器転移なく,根治的手術として再発吻合部切除術,腹壁再発部切除術施行.ポートサイト再発部切除術3カ月後であるが,無再発生存中である.ポートサイト再発は腹腔鏡下大腸癌切除術の稀な再発形式であり,機序に関して仮説が唱えられるが明確なエビデンスはない.今回,当施設でポートサイト再発を2例経験し,報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.1583