イレウス管迷入によるMeckel憩室穿孔の1例

症例は65歳,男性.肺癌の入院精査加療中,イレウスを生じたため経鼻イレウス管による加療を開始した.イレウス管留置後9日目に腹膜刺激症状を伴う下腹部痛が出現したため,腹部CT検査を施行したところfree airを認め,消化管穿孔の疑いで緊急手術を行った.開腹したところMeckel憩室頂部からイレウス管の脱出を認めた.また,憩室は肛門側の回腸と白苔を伴って癒着しており,イレウスの原因は憩室炎による癒着と考えられた.憩室を含めた小腸部分切除術を施行した. Meckel憩室は消化管先天異常であり,大多数が無症状で経過するが,稀に憩室炎・イレウス・穿孔などを併発する.今回,憩室炎に伴う癒着性イレウスを発...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 5; pp. 1048 - 1052
Main Authors 前田, 清, 栂野, 真吾, 大谷, 博, 平川, 弘聖, 渋谷, 雅常, 永原, 央
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.1048

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Summary:症例は65歳,男性.肺癌の入院精査加療中,イレウスを生じたため経鼻イレウス管による加療を開始した.イレウス管留置後9日目に腹膜刺激症状を伴う下腹部痛が出現したため,腹部CT検査を施行したところfree airを認め,消化管穿孔の疑いで緊急手術を行った.開腹したところMeckel憩室頂部からイレウス管の脱出を認めた.また,憩室は肛門側の回腸と白苔を伴って癒着しており,イレウスの原因は憩室炎による癒着と考えられた.憩室を含めた小腸部分切除術を施行した. Meckel憩室は消化管先天異常であり,大多数が無症状で経過するが,稀に憩室炎・イレウス・穿孔などを併発する.今回,憩室炎に伴う癒着性イレウスを発症し,その加療目的に挿入したイレウス管が憩室内に迷入し持続的な刺激により消化管穿孔をきたした極めて稀な1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.1048