外傷性十二指腸完全断裂の1例―十二指腸空腸側々吻合による再建

症例は54歳,男性。交通事故による腹部打撲で救急搬送。CT検査で十二指腸水平脚の腸管壁の造影不整や膵頭部周囲の脂肪織濃度の上昇,腹腔内の大量腹水を認めた。十二指腸または膵頭部損傷と診断し緊急手術となった。Treitz靭帯において十二指腸の完全断裂を認め,上腸間膜静脈に合流する静脈枝から出血していた。膵臓の損傷は認めなかった。断裂した十二指腸の端々吻合は縫合不全のリスクが高いと判断し,断裂端を閉鎖,空腸を挙上し,十二指腸空腸側々吻合術,胃空腸吻合術,Braun吻合術を施行。術後腹腔内膿瘍に対してドレナージを行ったが,その他重篤な合併症なく経過し第24病日に退院した。十二指腸損傷にはさまざまな術式...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 6; pp. 1007 - 1010
Main Authors 大辻, 英吾, 落合, 登志哉, 井上, 博之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2018
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.1007

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Summary:症例は54歳,男性。交通事故による腹部打撲で救急搬送。CT検査で十二指腸水平脚の腸管壁の造影不整や膵頭部周囲の脂肪織濃度の上昇,腹腔内の大量腹水を認めた。十二指腸または膵頭部損傷と診断し緊急手術となった。Treitz靭帯において十二指腸の完全断裂を認め,上腸間膜静脈に合流する静脈枝から出血していた。膵臓の損傷は認めなかった。断裂した十二指腸の端々吻合は縫合不全のリスクが高いと判断し,断裂端を閉鎖,空腸を挙上し,十二指腸空腸側々吻合術,胃空腸吻合術,Braun吻合術を施行。術後腹腔内膿瘍に対してドレナージを行ったが,その他重篤な合併症なく経過し第24病日に退院した。十二指腸損傷にはさまざまな術式があり,術中所見により適切な術式選択が求められる。迅速に診断し,適切な術式選択が行えれば,救命可能であると考えられる。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.1007