Granulocyte colony-stimulating factor 産生肝未分化癌の一例

症例は61歳男性.右肩痛,食欲不振を主訴に受診し,血液検査にて白血球14200/μl,CRP 9.12 mg/dLと高値で,腹部造影CTにて肝外側区域に辺縁が淡く造影される50 mm大の腫瘤と多発リンパ節腫脹を認めた.初診から約2カ月後の造影CTにて,腫瘍は90 mmに増大し,新たに門脈浸潤,胃壁への浸潤が疑われた.急速に増大する肝細胞癌の診断で,肝外側区域切除術を施行した.胃大弯の腫大リンパ節の術中迅速組織診の結果,癌細胞陽性で高度の好中球浸潤を伴い,G-CSF産生肝細胞癌が疑われた.初診時血清G-CSFは58 pg/mlと上昇していた.病理組織学的検査では未分化癌の成分の中に一部中分化型肝...

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Published in肝臓 Vol. 60; no. 5; pp. 147 - 155
Main Authors 金子, 高明, 中台, 英里, 三浦, 世樹, 竹内, 男, 大塚, 将之, 野呂, 昌弘, 尾形, 章, 神谷, 潤一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.05.2019
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.60.147

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Summary:症例は61歳男性.右肩痛,食欲不振を主訴に受診し,血液検査にて白血球14200/μl,CRP 9.12 mg/dLと高値で,腹部造影CTにて肝外側区域に辺縁が淡く造影される50 mm大の腫瘤と多発リンパ節腫脹を認めた.初診から約2カ月後の造影CTにて,腫瘍は90 mmに増大し,新たに門脈浸潤,胃壁への浸潤が疑われた.急速に増大する肝細胞癌の診断で,肝外側区域切除術を施行した.胃大弯の腫大リンパ節の術中迅速組織診の結果,癌細胞陽性で高度の好中球浸潤を伴い,G-CSF産生肝細胞癌が疑われた.初診時血清G-CSFは58 pg/mlと上昇していた.病理組織学的検査では未分化癌の成分の中に一部中分化型肝細胞癌成分が混在し,リンパ節転移と腹膜播種を伴っていた.G-CSFの免疫染色では,未分化癌細胞の細胞質内で陽性だった.術後経過良好で退院となったが,すぐにリンパ節転移及び播種病変の増大を来し,術後95日目に死亡した.急速な増大を来したG-CSF産生肝未分化癌の一例を経験したので報告する.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.60.147