肝硬変を伴わないWilson病に発症した肝細胞癌の一例

症例は58歳男性.12歳時にWilson病と診断された.19歳時に当科紹介となり,以後40年以上にわたりペニシラミンの投与を継続しながら経過観察していた.腹部造影CTならびにMRIで肝S4ならびにS8に結節を認め,肝腫瘍生検を施行した.S8結節からの生検で中分化型肝細胞癌と診断した.背景肝組織には軽度の線維化を認めたが,肝硬変には至っていないと考えられた.また,肝実質に銅ならびに鉄の蓄積を認めた.肝細胞癌に対して経カテーテル的肝動脈化学塞栓術ならびにラジオ波焼灼療法を施行した.Wilson病における肝発癌は稀とされているが,非線維化進展例からの肝発癌報告は特に少ない.Wilson病における肝へ...

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Published in肝臓 Vol. 58; no. 9; pp. 519 - 527
Main Authors 古田, 訓丸, 藥師神, 崇行, 巽, 智秀, 森井, 英一, 山田, 涼子, 本間, 圭一郎, 竹原, 徹郎, 福富, 啓祐, 小玉, 尚宏, 疋田, 隼人, 阪森, 亮太郞, 重川, 稔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2017
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.58.519

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Summary:症例は58歳男性.12歳時にWilson病と診断された.19歳時に当科紹介となり,以後40年以上にわたりペニシラミンの投与を継続しながら経過観察していた.腹部造影CTならびにMRIで肝S4ならびにS8に結節を認め,肝腫瘍生検を施行した.S8結節からの生検で中分化型肝細胞癌と診断した.背景肝組織には軽度の線維化を認めたが,肝硬変には至っていないと考えられた.また,肝実質に銅ならびに鉄の蓄積を認めた.肝細胞癌に対して経カテーテル的肝動脈化学塞栓術ならびにラジオ波焼灼療法を施行した.Wilson病における肝発癌は稀とされているが,非線維化進展例からの肝発癌報告は特に少ない.Wilson病における肝への鉄の蓄積と発癌との関連について,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.58.519