肝細胞癌と鑑別を要した肝血管筋脂肪腫の1切除例

症例は50歳女性.検診の腹部エコー検査で肝腫瘤を指摘され,精査目的に当院へ紹介となった.HBs抗原とHCV抗体は陰性,HBs抗体とHBc抗体が陽性で肝機能は正常であった.腹部エコー検査では肝S4表面に24×15 mm大の低エコー腫瘤を認めた.造影エコー検査(ソナゾイド)では早期動脈相で強く全体が濃染され,肝静脈への還流像が描出された.Kupffer相では欠損像を呈した.腹部造影CT,Gd-EOB-DTPA造影MRIでは動脈相で濃染され,門脈相でwash outされた.画像所見とoccult HBV感染から肝細胞癌が否定できず,肝S4亜区域切除術を施行した.病理組織学的には上皮様の紡錘形細胞と豊...

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Published in肝臓 Vol. 54; no. 7; pp. 479 - 485
Main Authors 田口, 昌延, 俵藤, 正信, 森嶋, 計, 清水, 敦, 佐田, 尚宏, 福嶋, 敬宜, 安田, 是和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2013
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Summary:症例は50歳女性.検診の腹部エコー検査で肝腫瘤を指摘され,精査目的に当院へ紹介となった.HBs抗原とHCV抗体は陰性,HBs抗体とHBc抗体が陽性で肝機能は正常であった.腹部エコー検査では肝S4表面に24×15 mm大の低エコー腫瘤を認めた.造影エコー検査(ソナゾイド)では早期動脈相で強く全体が濃染され,肝静脈への還流像が描出された.Kupffer相では欠損像を呈した.腹部造影CT,Gd-EOB-DTPA造影MRIでは動脈相で濃染され,門脈相でwash outされた.画像所見とoccult HBV感染から肝細胞癌が否定できず,肝S4亜区域切除術を施行した.病理組織学的には上皮様の紡錘形細胞と豊富な血管成分を中心とした腫瘍で脂肪成分はわずかであった.免疫染色でHMB-45,MelanA,αSMAが陽性で肝血管筋脂肪腫と診断した.肝血管筋脂肪腫は時に肝細胞癌との鑑別が困難である.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.54.479