常染色体優性多発性嚢胞腎に合併した白線ヘルニア・臍ヘルニアの1例

症例は43歳,女性.常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)で通院中であった.以前から腹部全体が膨満しており,さらに上腹部が膨隆し痛みを自覚することがあったが,痛みが増悪することなく自然に軽快していたため放置していた.当科受診の前日に腹痛が出現したため当院救急外来を受診した.来院時心窩部に径約6cmの膨隆がみられ,腹部CTで腸管をヘルニア内容とする上腹部の白線ヘルニアと臍ヘルニアが指摘された.ADPKDに合併した上腹部の白線ヘルニアおよび臍ヘルニアと診断し,待機的に白線ヘルニア根治術,臍ヘルニア根治術を行った.上腹部の白線に20×15mm,臍部には15×15mmのヘルニア門を認め,それぞれメッシ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 7; pp. 1635 - 1639
Main Authors 池田, 貴裕, 林, 忠毅, 平山, 一久, 西脇, 由朗, 宮崎, 真一郎, 関本, 晃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.1635

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Summary:症例は43歳,女性.常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)で通院中であった.以前から腹部全体が膨満しており,さらに上腹部が膨隆し痛みを自覚することがあったが,痛みが増悪することなく自然に軽快していたため放置していた.当科受診の前日に腹痛が出現したため当院救急外来を受診した.来院時心窩部に径約6cmの膨隆がみられ,腹部CTで腸管をヘルニア内容とする上腹部の白線ヘルニアと臍ヘルニアが指摘された.ADPKDに合併した上腹部の白線ヘルニアおよび臍ヘルニアと診断し,待機的に白線ヘルニア根治術,臍ヘルニア根治術を行った.上腹部の白線に20×15mm,臍部には15×15mmのヘルニア門を認め,それぞれメッシュを用いて修復した. ADPKDに腹壁ヘルニアを合併することは知られているが白線ヘルニアの合併は稀である.今回,ADPKDに白線ヘルニアと臍ヘルニアを合併した稀な症例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.1635