左前胸壁に生じた男性副乳癌の1例

われわれは左前胸壁に生じた男性副乳癌の1症例を経験した.症例は65歳の男性.近医で左前胸壁皮下の腫瘤切除術を施行された.病理診断では神経内分泌分化を伴う転移性癌が疑われ,断端陽性であった.しかし,全身精査では原発巣が不明で転移性腫瘍は否定的であった.腫瘍の位置が乳腺堤上であることと,病理組織所見で腫瘍細胞が浸潤性乳管癌の亜型である充実腺管癌に類似した組織像を呈し,腫瘍組織内またはその近傍に乳腺組織類似構造が認められたことから副乳癌が最も疑われた.腫瘍切除から5カ月後に,増大した残存腫瘤切除と左腋窩リンパ節郭清術を施行した.腫瘤の免疫組織化学検査ではER陽性,PgR陽性,HER2陰性であり,リン...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 7; pp. 1588 - 1594
Main Authors 前原, 直樹, 賴田, 顕辞, 日高, 秀樹, 近藤, 千博, 土屋, 和代
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.1588

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Summary:われわれは左前胸壁に生じた男性副乳癌の1症例を経験した.症例は65歳の男性.近医で左前胸壁皮下の腫瘤切除術を施行された.病理診断では神経内分泌分化を伴う転移性癌が疑われ,断端陽性であった.しかし,全身精査では原発巣が不明で転移性腫瘍は否定的であった.腫瘍の位置が乳腺堤上であることと,病理組織所見で腫瘍細胞が浸潤性乳管癌の亜型である充実腺管癌に類似した組織像を呈し,腫瘍組織内またはその近傍に乳腺組織類似構造が認められたことから副乳癌が最も疑われた.腫瘍切除から5カ月後に,増大した残存腫瘤切除と左腋窩リンパ節郭清術を施行した.腫瘤の免疫組織化学検査ではER陽性,PgR陽性,HER2陰性であり,リンパ節転移は認められなかった.術後はタモキシフェンを内服中であり,再手術後24カ月経過した現在無再発生存中である.前胸壁に発生した男性副乳癌の症例は検索しえた範囲で自験例のみであった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.1588