食道裂孔ヘルニア内で発症した胃穿孔の1例

食道裂孔ヘルニア内で発症した胃穿孔に対し,緊急手術を行った1例を経験したので報告する.症例は78歳,女性.吐血を主訴に救急搬送された.上部消化管内視鏡で食道胃接合部に多発の縦走潰瘍と,CT検査で縦隔内気腫を認め,食道破裂疑いで緊急手術となった.胸水は少量で縦隔気腫が下縦隔に限定していたことから,経裂孔アプローチを選択した.上腹部正中切開を行い食道裂孔部に至ると,食道裂孔ヘルニアを認めた.ヘルニア内部で噴門部に約5cmの裂創を認め,胃管が露出していた.潰瘍穿孔部を単純閉鎖した後,食道裂孔を閉鎖し,胃底部を吻合部前壁と横隔膜脚に縫着し噴門形成を行った.経胃腸瘻を留置し,術中内視鏡で縫合部の閉鎖を確...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 7; pp. 1511 - 1516
Main Authors 竹野, 淳, 村上, 剛平, 野瀬, 陽平, 加藤, 健志, 武田, 裕, 田村, 茂行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.1511

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Summary:食道裂孔ヘルニア内で発症した胃穿孔に対し,緊急手術を行った1例を経験したので報告する.症例は78歳,女性.吐血を主訴に救急搬送された.上部消化管内視鏡で食道胃接合部に多発の縦走潰瘍と,CT検査で縦隔内気腫を認め,食道破裂疑いで緊急手術となった.胸水は少量で縦隔気腫が下縦隔に限定していたことから,経裂孔アプローチを選択した.上腹部正中切開を行い食道裂孔部に至ると,食道裂孔ヘルニアを認めた.ヘルニア内部で噴門部に約5cmの裂創を認め,胃管が露出していた.潰瘍穿孔部を単純閉鎖した後,食道裂孔を閉鎖し,胃底部を吻合部前壁と横隔膜脚に縫着し噴門形成を行った.経胃腸瘻を留置し,術中内視鏡で縫合部の閉鎖を確認し手術を終了した.術後8日目の造影検査で縫合不全を認めたが,ドレーン管理による瘻孔化を図り,23日目に内視鏡下の吻合部閉鎖を施行した.その後,40日目から経口摂取を開始し63日目に転院した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.1511