甲状腺癌治療中に腸重積で発症した小腸肉腫の1例

症例は74歳の男性で,甲状腺癌多発肺転移による癌性胸膜炎の疼痛緩和治療のため,当院耳鼻咽喉科に入院していた.入院4日目より腹痛・嘔吐を認め,精査が行われた.腹部造影CTで腫瘍性病変による小腸の腸重積と著明な拡張を認めた.また,上部消化管内視鏡検査では,早期胃癌を認めた.上記により,小腸腫瘍による腸重積の疑いで外科紹介となり,手術を施行した.回腸末端から100cm口側の部位で腫瘍を先進部とした腸重積を認めた.腸管に壊死所見を認めず,還納後に小腸部分切除術を施行した.病理組織学的に粘膜内から粘膜下層に,類円形から多辺形細胞のびまん性増殖を認め,小腸肉腫の診断が得られたものの,分類の特定には至らなか...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 8; pp. 1821 - 1826
Main Authors 石川, 佳孝, 船水, 尚武, 矢永, 勝彦, 岡本, 友好
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.1821

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Summary:症例は74歳の男性で,甲状腺癌多発肺転移による癌性胸膜炎の疼痛緩和治療のため,当院耳鼻咽喉科に入院していた.入院4日目より腹痛・嘔吐を認め,精査が行われた.腹部造影CTで腫瘍性病変による小腸の腸重積と著明な拡張を認めた.また,上部消化管内視鏡検査では,早期胃癌を認めた.上記により,小腸腫瘍による腸重積の疑いで外科紹介となり,手術を施行した.回腸末端から100cm口側の部位で腫瘍を先進部とした腸重積を認めた.腸管に壊死所見を認めず,還納後に小腸部分切除術を施行した.病理組織学的に粘膜内から粘膜下層に,類円形から多辺形細胞のびまん性増殖を認め,小腸肉腫の診断が得られたものの,分類の特定には至らなかった.術後経過は良好で経口摂取可能となったが,甲状腺癌の進行により術後28日に呼吸不全で死亡退院した.本症例は甲状腺癌,胃癌に稀な小腸肉腫を伴う同時性3重複がん症例であったため報告した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.1821