腹腔鏡下に解除した開腹歴のない大網癒着による絞扼性イレウスの1例

症例は64歳,女性.突然の下腹部痛を主訴に当院外来受診した.開腹手術の既往はなく,来院時身体所見は下腹部正中付近の強い圧痛と筋性防御を認めた.腹部超音波検査で圧痛部位に一致して拡張した小腸を認め,腹部CTで下腹部正中付近でclosed loopを認めた.以上より絞扼性イレウスを強く疑い,発症6時間後に腹腔鏡下イレウス解除術を施行した.腹腔内を観察すると,大網から突出するように暗赤色に変色した長さ約20cmにわたる腸管のループを認め,大網が左側腹部に癒着して形成された索状物により絞扼をきたしていた.索状物を切離し絞扼を解除すると腸管の血流は回復し腸切除は行わずに終刀とした.術後経過は良好で第6病...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 6; pp. 1721 - 1725
Main Authors 林, 茂也, 清水, 康博, 遠藤, 格, 國崎, 主税, 上田, 倫夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.1721

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Summary:症例は64歳,女性.突然の下腹部痛を主訴に当院外来受診した.開腹手術の既往はなく,来院時身体所見は下腹部正中付近の強い圧痛と筋性防御を認めた.腹部超音波検査で圧痛部位に一致して拡張した小腸を認め,腹部CTで下腹部正中付近でclosed loopを認めた.以上より絞扼性イレウスを強く疑い,発症6時間後に腹腔鏡下イレウス解除術を施行した.腹腔内を観察すると,大網から突出するように暗赤色に変色した長さ約20cmにわたる腸管のループを認め,大網が左側腹部に癒着して形成された索状物により絞扼をきたしていた.索状物を切離し絞扼を解除すると腸管の血流は回復し腸切除は行わずに終刀とした.術後経過は良好で第6病日に退院となった.開腹歴のない大網癒着による絞扼性イレウスは稀であり,さらに腹腔鏡手術によりイレウス解除を行い得た症例は稀である.今回われわれは,希少な症例を経験したので文献的考察を含めて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.1721