乳癌甲状腺転移の1例
乳癌の転移性甲状腺腫瘍は稀とされ,当院耳鼻咽喉科でも甲状腺腫瘍手術例723例のうち1例のみであった。52歳女性,増大する前頸部腫脹で当科を受診した。甲状腺左葉に最大径110mm台の囊胞性腫瘤を認め,穿刺吸引細胞診にて甲状腺以外の上皮系悪性腫瘍の転移との診断であった。同時期に左乳房腫瘤を自覚し,当院外科にて乳癌の診断となった。FDG-PET検査で全身多発性転移を認め,化学療法を行う方針となったが,副作用の出血が腫瘍内で起きると気道狭窄の危険性があり,甲状腺腫瘍は摘出することとし,術後病理組織診断で乳癌の甲状腺転移と確定診断した。他臓器悪性腫瘍を合併している場合は転移性甲状腺腫瘍も念頭に置いて診療...
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Published in | 頭頸部外科 Vol. 28; no. 1; pp. 95 - 99 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
2018
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1349-581X 1884-474X |
DOI | 10.5106/jjshns.28.95 |
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Summary: | 乳癌の転移性甲状腺腫瘍は稀とされ,当院耳鼻咽喉科でも甲状腺腫瘍手術例723例のうち1例のみであった。52歳女性,増大する前頸部腫脹で当科を受診した。甲状腺左葉に最大径110mm台の囊胞性腫瘤を認め,穿刺吸引細胞診にて甲状腺以外の上皮系悪性腫瘍の転移との診断であった。同時期に左乳房腫瘤を自覚し,当院外科にて乳癌の診断となった。FDG-PET検査で全身多発性転移を認め,化学療法を行う方針となったが,副作用の出血が腫瘍内で起きると気道狭窄の危険性があり,甲状腺腫瘍は摘出することとし,術後病理組織診断で乳癌の甲状腺転移と確定診断した。他臓器悪性腫瘍を合併している場合は転移性甲状腺腫瘍も念頭に置いて診療する必要があると思われた。 |
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ISSN: | 1349-581X 1884-474X |
DOI: | 10.5106/jjshns.28.95 |