術中ICG蛍光造影が胃空腸吻合の適否決定に有用であった膵癌腹膜転移の1例

症例は68歳,女性.膵体部癌・腹膜転移による頻回の嘔吐のため当院紹介となった.CT検査では,膵癌の十二指腸への浸潤と多発腹膜転移を認め,上部消化管造影検査では,造影剤の十二指腸通過を全く認めなかった.胃空腸バイパスによって症状改善の可能性があると考えられたが,十二指腸以遠の腸管閉塞の有無を術前に確認することができなかった.Indocyanine green(ICG)を手術2日前に静脈注射し,術中に蛍光観察を行った.下行結腸内腔に蛍光シグナルを認め,十二指腸から下行結腸まで腸管が開存していることが確認できたので,胃空腸吻合を行った.術後,胃空腸バイパスは良好に機能し,術後42日目に転院するまで経...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 4; pp. 1067 - 1070
Main Authors 山梨, 恵次, 鍛, 利幸, 宮内, 雄也, 伊東, 大輔, 古元, 克好, 小切, 匡史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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Summary:症例は68歳,女性.膵体部癌・腹膜転移による頻回の嘔吐のため当院紹介となった.CT検査では,膵癌の十二指腸への浸潤と多発腹膜転移を認め,上部消化管造影検査では,造影剤の十二指腸通過を全く認めなかった.胃空腸バイパスによって症状改善の可能性があると考えられたが,十二指腸以遠の腸管閉塞の有無を術前に確認することができなかった.Indocyanine green(ICG)を手術2日前に静脈注射し,術中に蛍光観察を行った.下行結腸内腔に蛍光シグナルを認め,十二指腸から下行結腸まで腸管が開存していることが確認できたので,胃空腸吻合を行った.術後,胃空腸バイパスは良好に機能し,術後42日目に転院するまで経口摂取可能な状態が維持できた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.1067