長期のアデホビル投与によりFanconi症候群を来したB型慢性肝炎の1例

症例は61歳男性.主訴は両下腿痛.X-10年B型慢性肝炎に対しLamivudine(LMV)治療が開始され,X-7年LMV耐性のためAdefovir dipivoxil(ADV)が併用された.X-6年8月より腎障害,同年10月より血清尿酸値の低下,X-4年9月より血清ALP値の上昇が認められた.X年6月に両脛骨・腓骨の疲労骨折,X年10月にALP 1836 IU/lと高値となり,同年11月に当科入院となった.血清P 1.7 mg/dlと低値,下腿X線検査で両側下腿骨に偽骨折,代謝性アシドーシス,腎性糖尿,尿中Ca・P・尿酸排泄の亢進,汎アミノ酸尿が認められ,ADV併用開始とともに生じたFanc...

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Published in肝臓 Vol. 54; no. 3; pp. 187 - 193
Main Authors 光本, 富士子, 小川, 栄一, 古庄, 憲浩, 貝沼, 茂三郎, 村田, 昌之, 林, 純, 熊手, 絵璃, 豊田, 一弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2013
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.54.187

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Summary:症例は61歳男性.主訴は両下腿痛.X-10年B型慢性肝炎に対しLamivudine(LMV)治療が開始され,X-7年LMV耐性のためAdefovir dipivoxil(ADV)が併用された.X-6年8月より腎障害,同年10月より血清尿酸値の低下,X-4年9月より血清ALP値の上昇が認められた.X年6月に両脛骨・腓骨の疲労骨折,X年10月にALP 1836 IU/lと高値となり,同年11月に当科入院となった.血清P 1.7 mg/dlと低値,下腿X線検査で両側下腿骨に偽骨折,代謝性アシドーシス,腎性糖尿,尿中Ca・P・尿酸排泄の亢進,汎アミノ酸尿が認められ,ADV併用開始とともに生じたFanconi症候群による骨軟化症と診断された.ADVの中止および骨粗鬆症治療薬により,腎機能および骨病変の改善が認められた.B型慢性肝炎に対するADVの長期投与により発症するFanconi症候群に注意が必要である.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.54.187