急性胆囊炎を契機に発見された胃神経鞘腫の1例

症例は67歳女性。主訴は右上腹部痛。血液検査では炎症反応の上昇および肝胆道系酵素の上昇を認めた。CTでは急性胆囊炎の所見があり,胃壁には70mm大の壁外発育性の腫瘤を認めた。急性胆囊炎に対して経皮経肝的胆囊ドレナージを施行し,症状は軽快した。上部消化管内視鏡検査で,胃体下部大弯に大きな潰瘍を伴った粘膜下腫瘍を認め,ボーリング生検を施行した。生検の結果,錯綜する紡錘形の腫瘍細胞を認め,免疫染色ではS100陽性,desmin陰性,CD34陰性,c-kit陰性,MIB-1 index 5~10%であり胃神経鞘腫と診断した。待機的に開腹胃部分切除術,胆囊摘出術を施行した。術後経過良好で第12病日に退院...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 6; pp. 1081 - 1084
Main Authors 利府, 数馬, 関口, 忠司, 直井, 大志, 青木, 裕一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2018
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.1081

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Summary:症例は67歳女性。主訴は右上腹部痛。血液検査では炎症反応の上昇および肝胆道系酵素の上昇を認めた。CTでは急性胆囊炎の所見があり,胃壁には70mm大の壁外発育性の腫瘤を認めた。急性胆囊炎に対して経皮経肝的胆囊ドレナージを施行し,症状は軽快した。上部消化管内視鏡検査で,胃体下部大弯に大きな潰瘍を伴った粘膜下腫瘍を認め,ボーリング生検を施行した。生検の結果,錯綜する紡錘形の腫瘍細胞を認め,免疫染色ではS100陽性,desmin陰性,CD34陰性,c-kit陰性,MIB-1 index 5~10%であり胃神経鞘腫と診断した。待機的に開腹胃部分切除術,胆囊摘出術を施行した。術後経過良好で第12病日に退院した。今回われわれは急性胆囊炎を契機に発見された胃神経鞘腫を,経皮経肝的胆囊ドレナージを行い,十分な術前診断の後に,治癒切除できた症例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.1081