術中血圧上昇を認めた無症候性paragangliomaの1例

症例は30代,男性.2週間前から続く心窩部,背部痛を主訴に当院を受診した.腹部CTで大動脈左側に約3cm大の腫瘍が認められ,十二指腸GISTや神経原性腫瘍などを疑い摘出術を施行した.腫瘍は被膜に覆われており,周囲組織との癒着は軽度であった.術中,腫瘍周囲の剥離操作中に血圧上昇が認められたがペルジピンを用いることでコントロール可能であった.腫瘍背側で神経との固着が認められ,神経原性腫瘍が疑われたが,病理結果よりparagangliomaと診断された.術後経過は良好で術後6日目に退院となった.本症例は無症候性であったこともあり,術前には診断しえなかったが,腹部大動脈周辺はparaganglioma...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 6; pp. 1709 - 1715
Main Authors 奥村, 拓也, 鈴木, 憲次, 山下, 公裕, 瀧, 由美子, 小宮山, 明, 岡本, 和哉, 川辺, 昭浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.1709

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Summary:症例は30代,男性.2週間前から続く心窩部,背部痛を主訴に当院を受診した.腹部CTで大動脈左側に約3cm大の腫瘍が認められ,十二指腸GISTや神経原性腫瘍などを疑い摘出術を施行した.腫瘍は被膜に覆われており,周囲組織との癒着は軽度であった.術中,腫瘍周囲の剥離操作中に血圧上昇が認められたがペルジピンを用いることでコントロール可能であった.腫瘍背側で神経との固着が認められ,神経原性腫瘍が疑われたが,病理結果よりparagangliomaと診断された.術後経過は良好で術後6日目に退院となった.本症例は無症候性であったこともあり,術前には診断しえなかったが,腹部大動脈周辺はparagangliomaの好発部位でもある.このような症例に対しては本疾患も念頭に置く必要があると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.1709