縦隔型A5+A9-10を有する左上葉肺腺癌に対する完全鏡視下左上葉切除

肺動脈分岐異常はしばしば存在し,肺癌手術において大変重要である.症例は70歳代女性.健診精査で胸部異常陰影を指摘された.画像上左上葉肺癌cT1aN0M0 cStage IA1が疑われ手術を行う方針にした.術中迅速病理検査にて肺腺癌であることを確認し,胸腔鏡下左上葉切除術および1群リンパ節郭清術を施行した.術前画像検査では分岐異常は指摘しえなかった.術中に縦隔型A5とA9-10の共通幹を認識し,A9-10を温存して完全鏡視下で手術を完遂した.縦隔型A5とA9-10の共通幹は左上葉肺静脈と左上葉気管支の間を走行していた.縦隔型A5とA9-10の共通幹はきわめて稀な血管走行であり,手術操作の際に注意...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 2; pp. 138 - 143
Main Authors 坪地, 宏嘉, 柴野, 智毅, 小林, 哲也, 遠藤, 俊輔, 手塚, 憲志, 塚田, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.03.2022
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.36.138

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Summary:肺動脈分岐異常はしばしば存在し,肺癌手術において大変重要である.症例は70歳代女性.健診精査で胸部異常陰影を指摘された.画像上左上葉肺癌cT1aN0M0 cStage IA1が疑われ手術を行う方針にした.術中迅速病理検査にて肺腺癌であることを確認し,胸腔鏡下左上葉切除術および1群リンパ節郭清術を施行した.術前画像検査では分岐異常は指摘しえなかった.術中に縦隔型A5とA9-10の共通幹を認識し,A9-10を温存して完全鏡視下で手術を完遂した.縦隔型A5とA9-10の共通幹は左上葉肺静脈と左上葉気管支の間を走行していた.縦隔型A5とA9-10の共通幹はきわめて稀な血管走行であり,手術操作の際に注意を要する.胸部単純CT画像で左気管支と左上肺静脈の間に構造物を認めた場合,縦隔型肺底区域動脈の可能性を疑い詳細にCT画像を評価する必要がある.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.36.138