腹腔内遊離ガスを認めた壊疽性虫垂炎による盲腸周囲膿瘍の1例

症例は68歳男性。受診7日前より右下腹部痛,下痢,嘔吐を認め,右下腹部痛が増強したため救急外来を受診した。腹部全体に腹膜刺激症状を認め,右下腹部に圧痛の最強点を認めた。胸腹部単純X線写真立位では右横隔膜下に腹腔内遊離ガス像を,右下腹部には石灰化像を認めた。腹部CTでは,盲腸壁は著明に肥厚して腫瘍性病変を疑わせ,盲腸内側尾側にガスと石灰化像を伴う膿瘍を認めた。さらに腹腔内には少量の腹水貯留と遊離ガスも認めた。虫垂炎または盲腸腫瘍を原因とする膿瘍破裂の診断で救急手術を行った。リンパ節廓清を伴う回盲部切除術を行ったが,術中所見と病理組織診断の結果より虫垂結石嵌頓による壊疽性虫垂炎と診断した。ガス産生...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 32; no. 1; pp. 83 - 86
Main Authors 中村, 学, 石坂, 克彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2012
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Summary:症例は68歳男性。受診7日前より右下腹部痛,下痢,嘔吐を認め,右下腹部痛が増強したため救急外来を受診した。腹部全体に腹膜刺激症状を認め,右下腹部に圧痛の最強点を認めた。胸腹部単純X線写真立位では右横隔膜下に腹腔内遊離ガス像を,右下腹部には石灰化像を認めた。腹部CTでは,盲腸壁は著明に肥厚して腫瘍性病変を疑わせ,盲腸内側尾側にガスと石灰化像を伴う膿瘍を認めた。さらに腹腔内には少量の腹水貯留と遊離ガスも認めた。虫垂炎または盲腸腫瘍を原因とする膿瘍破裂の診断で救急手術を行った。リンパ節廓清を伴う回盲部切除術を行ったが,術中所見と病理組織診断の結果より虫垂結石嵌頓による壊疽性虫垂炎と診断した。ガス産生菌が発生した膿瘍内ガスが,膿瘍破裂のため腹腔内遊離ガスの原因になったと考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.32.83