スーパー抗原関与の検討を行った急性感染性電撃性紫斑病の1例
急性感染性電撃性紫斑病(acute infectious purpura fluminans: AIPF)は,感染を契機に敗血症性ショック,播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation: DIC)に至り,四肢顔面の限局性紫斑を呈する死亡率の高い稀な疾患であるが,その病態については十分に解明されていない。我々は文献的考察に加え,患者血清中のスーパー抗原を測定し,AIPFの病態について考察したので報告する。症例は生来健康な74歳の女性。意識障害を主訴に当院に搬送された。入院6時間後に敗血症性ショックに至り,同時に四肢顔面の限局性紫斑が出現した...
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Published in | 日本救急医学会雑誌 Vol. 25; no. 4; pp. 152 - 158 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本救急医学会
2014
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Subjects | |
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ISSN | 0915-924X 1883-3772 |
DOI | 10.3893/jjaam.25.152 |
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Summary: | 急性感染性電撃性紫斑病(acute infectious purpura fluminans: AIPF)は,感染を契機に敗血症性ショック,播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation: DIC)に至り,四肢顔面の限局性紫斑を呈する死亡率の高い稀な疾患であるが,その病態については十分に解明されていない。我々は文献的考察に加え,患者血清中のスーパー抗原を測定し,AIPFの病態について考察したので報告する。症例は生来健康な74歳の女性。意識障害を主訴に当院に搬送された。入院6時間後に敗血症性ショックに至り,同時に四肢顔面の限局性紫斑が出現した。第4病日には紫斑部が表皮剥離し,第9病日には紫斑部は乾性壊疽に至った。第5病日に血液培養で肺炎球菌が確認され,AIPFと診断し集中治療管理を行ったが,第14病日,消化管ないし尿路感染による敗血症性ショックに再度至り,第16病日に死の転帰に至った。我々は,紫斑,表皮剥離などの急激な皮膚症状を引き起こし,敗血症性ショックに至る臨床像からAIPFの病態にスーパー抗原の関与を疑い,その関連性を検討した。黄色ブドウ球菌性AIPFとスーパー抗原の関連性を示唆したKravitzらの報告を参考に患者血清中のブドウ球菌性スーパー抗原(Staphylococcal enterotoxin A, B, C: SEA, SEB, SEC),レンサ球菌性スーパー抗原(Streptococcal pyrogenic exotoxin A: SPEA,toxic shock syndrome toxin-1: TSST-1)を測定したが,いずれも検出することはできなかった。今回測定できていない他のスーパー抗原も含め,AIPFとスーパー抗原の関連性について今後も検討していく必要があると考えられる。 |
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ISSN: | 0915-924X 1883-3772 |
DOI: | 10.3893/jjaam.25.152 |