解剖学的再建を施行した感染性腹部大動脈瘤の1例

感染性大動脈瘤は比較的稀な疾患であるが,破裂の危険性が高く,診断がつけば手術治療が原則である.今回われわれは,解剖学的人工血管置換および大網充填術を施行し良好な結果を得た1例を経験したので報告する. 症例は71歳,男性.突然の腰背部痛,発熱で発症,感染性大動脈瘤切迫破裂と診断し緊急手術となった.術前CT検査で腎動脈分岐直下に嚢状動脈瘤,辺縁に炎症の波及を認めた.腹部正中切開にて経腹的アプローチし,動脈瘤壁,後腹膜を含め周囲組織を除去,人工血管にて解剖学的再建,大網充填術を施行した.動脈壁からサルモネラ菌が同定された.術後4週間抗菌剤を投与した.現在術後1年経過し,感染の再燃もなく外来通院中であ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 7; pp. 1797 - 1801
Main Authors 中山, 卓也, 須田, 久雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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Summary:感染性大動脈瘤は比較的稀な疾患であるが,破裂の危険性が高く,診断がつけば手術治療が原則である.今回われわれは,解剖学的人工血管置換および大網充填術を施行し良好な結果を得た1例を経験したので報告する. 症例は71歳,男性.突然の腰背部痛,発熱で発症,感染性大動脈瘤切迫破裂と診断し緊急手術となった.術前CT検査で腎動脈分岐直下に嚢状動脈瘤,辺縁に炎症の波及を認めた.腹部正中切開にて経腹的アプローチし,動脈瘤壁,後腹膜を含め周囲組織を除去,人工血管にて解剖学的再建,大網充填術を施行した.動脈壁からサルモネラ菌が同定された.術後4週間抗菌剤を投与した.現在術後1年経過し,感染の再燃もなく外来通院中である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.1797