Lambl 疣贅切除例の検討

Lambl疣贅は弁接合部に発生する線維性構造物であり,通常は経過観察が適当であるが,脳塞栓発症例の報告もあり,その手術適応については賛否両論である.われわれはLambl疣贅を合併した3例を経験したので,切除の意義について検討した.2例は重度僧帽弁閉鎖不全症(MR)にLambl疣贅を合併しており,重度MRへの手術と同時にLambl疣贅切除を行った.他の1例は慢性心不全加療中,心臓超音波検査で7 mm大のLambl疣贅を発見したが,手術適応となる心病変を認めなかったため保存的に経過観察している.手術を施行した2例中1例は,術前心エコーにて感染性心内膜炎(IE)が疑われたが,経過中の血液培養は陰性で...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 41; no. 3; pp. 135 - 138
Main Authors 本田, 賢太朗, 岡村, 吉隆, 戸口, 幸治, 打田, 俊司, 仲井, 健朗, 西村, 好晴, 山本, 暢子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2012
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.41.135

Cover

More Information
Summary:Lambl疣贅は弁接合部に発生する線維性構造物であり,通常は経過観察が適当であるが,脳塞栓発症例の報告もあり,その手術適応については賛否両論である.われわれはLambl疣贅を合併した3例を経験したので,切除の意義について検討した.2例は重度僧帽弁閉鎖不全症(MR)にLambl疣贅を合併しており,重度MRへの手術と同時にLambl疣贅切除を行った.他の1例は慢性心不全加療中,心臓超音波検査で7 mm大のLambl疣贅を発見したが,手術適応となる心病変を認めなかったため保存的に経過観察している.手術を施行した2例中1例は,術前心エコーにて感染性心内膜炎(IE)が疑われたが,経過中の血液培養は陰性で炎症反応も軽度上昇にとどまっており,切除した組織の病理学的検査にてLambl疣贅であることが診断できた.またLambl疣贅を切除しなかった1例では既往歴に原因不明の脳梗塞があり,Lambl疣贅が原因となっていることは否定できないが,抗血小板薬内服により塞栓症を発症することなく10年経過している.Lambl疣贅は,疣贅そのものより周囲に付着した血栓が原因で脳塞栓を発症するとの報告もあり,Lambl疣贅単独で手術適応とするのは躊躇されるが,同時手術施行例では積極的な切除を検討することが有用と考える.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.41.135