腹腔鏡下手術にて診断的治療を行った副腎神経節細胞腫の1例

神経節細胞腫は交感神経節細胞から発生し,交感神経系腫瘍のうち最も高分化な良性腫瘍である.臨床症状が乏しく,増大してから発見されることが多い腫瘍であるが,偶発副腎腫瘍として発見される頻度が増加している.症例は47歳の女性.偶然に最大径4cmの右副腎腫瘍を指摘された.内分泌学的には異常は認められず,画像的にも悪性腫瘍は否定的で,非機能性右副腎腫瘍の診断となった.手術適応としては境界型であるが,確定診断のため摘出術を施行した.腫瘤は被膜に覆われ,明らかな浸潤性の増殖は認められなかった.病理所見でも周囲組織への浸潤は認めなかった.腫瘍細胞は紡錘形で異型に乏しく,神経節細胞腫と診断された.非機能性偶発性...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 9; pp. 2135 - 2139
Main Authors 稲葉, 雅章, 野田, 諭, 大澤, 政彦, 岡崎, 由季, 柏木, 伸一郎, 田内, 幸枝, 大平, 雅一, 小野田, 尚佳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.2135

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Summary:神経節細胞腫は交感神経節細胞から発生し,交感神経系腫瘍のうち最も高分化な良性腫瘍である.臨床症状が乏しく,増大してから発見されることが多い腫瘍であるが,偶発副腎腫瘍として発見される頻度が増加している.症例は47歳の女性.偶然に最大径4cmの右副腎腫瘍を指摘された.内分泌学的には異常は認められず,画像的にも悪性腫瘍は否定的で,非機能性右副腎腫瘍の診断となった.手術適応としては境界型であるが,確定診断のため摘出術を施行した.腫瘤は被膜に覆われ,明らかな浸潤性の増殖は認められなかった.病理所見でも周囲組織への浸潤は認めなかった.腫瘍細胞は紡錘形で異型に乏しく,神経節細胞腫と診断された.非機能性偶発性副腎腫瘍の術前診断は困難な場合もあり,最大径が4cmを超えている場合や画像上非特異的な像を示す場合などには,診断と治療を兼ねた腹腔鏡下副腎摘除術を選択することも許容されると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.2135