遊離大腿筋膜移植で修復したほぼ全腸管が脱出した傍ストマヘルニアの1例

症例は75歳,男性.28年前に直腸癌に対し腹会陰式直腸切断術を施行された.10年前から傍ストマヘルニアを認めるようになり,用手還納を繰り返していた.徐々にヘルニアが増大し人工肛門の装具管理が困難となり根治術施行となる.ヘルニア門は15cm大,二つに分かれた小児頭大のヘルニア嚢を認め,ほぼ全小腸と結腸が陥入していた.まず,左下腹部の旧人工肛門を切除し,右上腹部に横行結腸で新人工肛門を造設した.ヘルニア嚢を切除し腹腔内に腸管を納めた後ヘルニア門を一次的に縫合閉鎖した.術後感染のリスクが高いと思われたため補強には遊離大腿筋膜移植する方法を用いた. 傍ストマヘルニアは術後再発という問題に加え,周囲組織...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 5; pp. 1428 - 1432
Main Authors 深田, 真宏, 横山, 伸二, 奥本, 龍夫, 藤井, 徹也, 金谷, 欣明, 丸山, 修一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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Summary:症例は75歳,男性.28年前に直腸癌に対し腹会陰式直腸切断術を施行された.10年前から傍ストマヘルニアを認めるようになり,用手還納を繰り返していた.徐々にヘルニアが増大し人工肛門の装具管理が困難となり根治術施行となる.ヘルニア門は15cm大,二つに分かれた小児頭大のヘルニア嚢を認め,ほぼ全小腸と結腸が陥入していた.まず,左下腹部の旧人工肛門を切除し,右上腹部に横行結腸で新人工肛門を造設した.ヘルニア嚢を切除し腹腔内に腸管を納めた後ヘルニア門を一次的に縫合閉鎖した.術後感染のリスクが高いと思われたため補強には遊離大腿筋膜移植する方法を用いた. 傍ストマヘルニアは術後再発という問題に加え,周囲組織が脆弱かつ汚染されており,感染のリスクも高いと考えられる.再発と感染という大きな二つの問題を解決するために自己組織である遊離大腿筋膜を用いてヘルニア修復を行う方法は非常に有用であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.1428