外性器合併切除を伴う骨盤内臓器全摘にて治癒切除した局所進行痔瘻癌の1例

症例は68歳の男性で,10年以上前より痔瘻を自覚し,近医で加療されていた.陰嚢膿瘍のために当院を紹介受診した際には,肛門周囲に多数の二次口を認め,尿道狭窄と膿尿がみられた.痔瘻癌と前立腺部尿道,尿道海綿体球部への瘻孔形成が疑われたが,再三の細胞診,内視鏡的病理検査で悪性細胞を認めなかった.炎症の鎮静化のためシートン法を施行し,その際の生検で腺癌と診断した.横行結腸人工肛門を造設し,手術までの待機期間にmFOLFOX6+panitumumabを4クール行った後,骨盤内臓器全摘,外性器合併切除,左薄筋皮弁再建を施行した.病理検査ではmucinous adenocarcinoma,ai,n0であった...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 6; pp. 1643 - 1649
Main Authors 石川, 博文, 高, 済峯, 稲次, 直樹, 西和田, 敏, 向川, 智英, 渡辺, 明彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.1643

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Summary:症例は68歳の男性で,10年以上前より痔瘻を自覚し,近医で加療されていた.陰嚢膿瘍のために当院を紹介受診した際には,肛門周囲に多数の二次口を認め,尿道狭窄と膿尿がみられた.痔瘻癌と前立腺部尿道,尿道海綿体球部への瘻孔形成が疑われたが,再三の細胞診,内視鏡的病理検査で悪性細胞を認めなかった.炎症の鎮静化のためシートン法を施行し,その際の生検で腺癌と診断した.横行結腸人工肛門を造設し,手術までの待機期間にmFOLFOX6+panitumumabを4クール行った後,骨盤内臓器全摘,外性器合併切除,左薄筋皮弁再建を施行した.病理検査ではmucinous adenocarcinoma,ai,n0であった.術後補助化学療法としてmFOLFOX6を8クール行い,術後15カ月無再発生存中である.局所進行痔瘻癌においては確実な切除断端陰性を得ることが重要であり,集学的治療による過不足ない手術が必要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.1643