経口抗ウイルス療法にて治癒し得た高齢者,C型急性肝炎の1例

症例は82歳男性,盲腸癌術後の,定期血液検査にて肝障害を認めた.薬剤性肝障害を疑い,服薬中止.その後も肝障害の改善を認めなかった事で薬剤性肝障害は否定的であり,精査目的にて当科紹介受診となる.血液生化学検査上,肝,胆道系酵素の異常が認められた.肝炎ウイルスの検索ではHA抗体-IgM,HBs抗原,HBc抗体,HCV抗体等は陰性であったが,HCV-RNAは5.4 LIU/mLと陽性を示し,後日,HCV抗体も陽性化した事で,急性C型肝炎と診断した.診断後,肝炎鎮静化を期待したが,遷延化した.高齢であり,インターフェロン治療困難なため,経口の抗HCV薬であるasunaprevir,daclatasvi...

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Published in肝臓 Vol. 58; no. 3; pp. 197 - 201
Main Authors 野中, 裕広, 兵庫, 秀幸, 徳毛, 宏則, 相坂, 康之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2017
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.58.197

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Summary:症例は82歳男性,盲腸癌術後の,定期血液検査にて肝障害を認めた.薬剤性肝障害を疑い,服薬中止.その後も肝障害の改善を認めなかった事で薬剤性肝障害は否定的であり,精査目的にて当科紹介受診となる.血液生化学検査上,肝,胆道系酵素の異常が認められた.肝炎ウイルスの検索ではHA抗体-IgM,HBs抗原,HBc抗体,HCV抗体等は陰性であったが,HCV-RNAは5.4 LIU/mLと陽性を示し,後日,HCV抗体も陽性化した事で,急性C型肝炎と診断した.診断後,肝炎鎮静化を期待したが,遷延化した.高齢であり,インターフェロン治療困難なため,経口の抗HCV薬であるasunaprevir,daclatasvirによる併用療法を行い,著効が得られた.急性C型肝炎が遷延化し,インターフェロン不耐症例に対してasunaprevir,daclatasvirによる併用療法の有用性を示唆する貴重な症例と考えられる.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.58.197