妊娠中期に発症した非B非C型劇症肝炎の1例
症例は35歳の女性。1経妊1経産の生来健康な妊婦(妊娠17週)であった。倦怠感で発症後,8日目に発熱を来し,近医を受診し眼球結膜黄染を指摘された。血液検査上,高度の肝機能障害を認めた(T-Bil 7.95mg/dl,ALT 3,505 IU/l,PT% 23%,NH3 134μg/dl)。肝不全の劇症化が懸念され,10日目に当院へ搬送された。入院時意識は清明で羽ばたき振戦はみられなかった。血液検査上,T-Bil 9.2mg/dl,ALT 2,520 IU/l,PT% 17%,NH3 80μg/dl,HBsAg陰性,HCV-Ab陰性であった。造影CT検査を施行したが腹水は認めず,肝は正常体積の1...
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Published in | 日本救急医学会雑誌 Vol. 24; no. 3; pp. 166 - 172 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本救急医学会
2013
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Subjects | |
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Summary: | 症例は35歳の女性。1経妊1経産の生来健康な妊婦(妊娠17週)であった。倦怠感で発症後,8日目に発熱を来し,近医を受診し眼球結膜黄染を指摘された。血液検査上,高度の肝機能障害を認めた(T-Bil 7.95mg/dl,ALT 3,505 IU/l,PT% 23%,NH3 134μg/dl)。肝不全の劇症化が懸念され,10日目に当院へ搬送された。入院時意識は清明で羽ばたき振戦はみられなかった。血液検査上,T-Bil 9.2mg/dl,ALT 2,520 IU/l,PT% 17%,NH3 80μg/dl,HBsAg陰性,HCV-Ab陰性であった。造影CT検査を施行したが腹水は認めず,肝は正常体積の122%と腫大していた。第2病日より新鮮凍結血漿(FFP)50単位による血漿交換を開始し,ステロイドパルス治療も開始したが,第4病日(発症から13日)に肝性昏睡2度が出現し,亜急性型劇症肝炎と診断した。早急に高流量持続血液濾過透析(HFCHDF)を開始するとともに血漿交換を継続し,肝移植の準備を進めた。妊娠による肝機能の急性増悪を考え,第5病日に妊娠中絶を完了した。第6病日に肝性脳症の症状は改善し,一時血漿交換直前でPT% 45%,T-Bil 6.1mg/dlに血液検査上は改善したが,第15病日でも肝不全は改善せず第20病日に生体部分肝移植術を施行した。摘出標本では門脈域には炎症細胞の浸潤を認め,細胆管にも胆汁栓とともに炎症細胞の浸潤を認めており,病理学的にも劇症肝炎に矛盾しないと考えられた。術後経過良好であり,術後25日目(第46病日)に退院となった。妊娠期の劇症肝炎の発症例は1980年以降22例報告されており,肝移植,妊娠中絶が有用である可能性が示唆されるが,当症例でも妊娠中絶後に肝移植を行い救命し得た。 |
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ISSN: | 0915-924X 1883-3772 |
DOI: | 10.3893/jjaam.24.166 |