全結腸におよぶ壊死型虚血性大腸炎の1例

症例は80歳女性,左下腹部痛を主訴に近医を受診した.白血球の上昇,腹部単純CTで脾彎曲部周囲の脂肪識濃度の上昇を認め,腸管壊死の疑いで当院へ搬送となった.当院施行の腹部造影CTで上行結腸から下行結腸までの造影効果は不良であった.結腸壊死の診断により緊急手術を施行した.開腹時,粘稠性腹水および盲腸からS状結腸までの腸管漿膜の虚血性変化を認め,全結腸型と診断した.上下腸間膜動脈の拍動を触知し閉塞がないことを確認した.回腸末端より直腸S状結腸部まで全結腸を切除し,回腸人工肛門を造設した.術後,ICU管理し血液透析を行った.血液透析から離脱し術後42日目に退院となった.虚血性大腸炎の中にはまれではある...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 7; pp. 1919 - 1923
Main Authors 水野, 克彦, 吉田, 和世, 西崎, 大輔, 武田, 亮二, 高橋, 滋, 安井, 寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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Summary:症例は80歳女性,左下腹部痛を主訴に近医を受診した.白血球の上昇,腹部単純CTで脾彎曲部周囲の脂肪識濃度の上昇を認め,腸管壊死の疑いで当院へ搬送となった.当院施行の腹部造影CTで上行結腸から下行結腸までの造影効果は不良であった.結腸壊死の診断により緊急手術を施行した.開腹時,粘稠性腹水および盲腸からS状結腸までの腸管漿膜の虚血性変化を認め,全結腸型と診断した.上下腸間膜動脈の拍動を触知し閉塞がないことを確認した.回腸末端より直腸S状結腸部まで全結腸を切除し,回腸人工肛門を造設した.術後,ICU管理し血液透析を行った.血液透析から離脱し術後42日目に退院となった.虚血性大腸炎の中にはまれではあるが,全結腸にわたる壊死へと進行する症例があることを認識し,診断・治療にあたることが必要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.1919